高齢歯科患者における口腔内カンジダ菌の検出に関連する要因 第2報

口腔内カンジダ菌は,通常は病原性を発揮しないが,免疫機能の低下などにより日和見感染として口腔カンジダ症を発症することがあるので,高齢者の口腔内カンジダ菌に関連する要因を明らかにすることは重要である。そこで先行研究の対象者に寝たきり者を含む施設入所者を追加することで,自立した高齢者から寝たきりの高齢者まで,さまざまな状態にある高齢者群を対象に,口腔内カンジダ菌と口腔衛生に関する事項との関連について検討した。 対象者は,訪問診療を含む歯科診療を受診した 70 歳以上の高齢患者 396 名(平均 81.5±6.9 歳,男性 126 名,女性 270 名)である。頰粘膜を滅菌綿棒で擦過して採取した検体...

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Published in老年歯科医学 Vol. 29; no. 4; pp. 340 - 349
Main Authors 江刺, 香苗, 菊池, 雅彦, 佐藤, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 08.04.2015
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.29.340

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Summary:口腔内カンジダ菌は,通常は病原性を発揮しないが,免疫機能の低下などにより日和見感染として口腔カンジダ症を発症することがあるので,高齢者の口腔内カンジダ菌に関連する要因を明らかにすることは重要である。そこで先行研究の対象者に寝たきり者を含む施設入所者を追加することで,自立した高齢者から寝たきりの高齢者まで,さまざまな状態にある高齢者群を対象に,口腔内カンジダ菌と口腔衛生に関する事項との関連について検討した。 対象者は,訪問診療を含む歯科診療を受診した 70 歳以上の高齢患者 396 名(平均 81.5±6.9 歳,男性 126 名,女性 270 名)である。頰粘膜を滅菌綿棒で擦過して採取した検体をカンジダ菌検出用簡易試験液・ストマスタットに入れ 37℃で 24 時間培養後,陰性,疑陽性,陽性のいずれかに判定した。口腔衛生に関する要因については,年齢,性別,住居の状況,口腔に関する要因,歩行に関する要因,全身疾患に関する事項を調査した。 その結果,口腔内カンジダ菌の検出と年齢・性別との関連は認められなかったが,施設入所者,口腔清掃不良者,現在歯数が少ない人,歩行が困難な人,認知症や他の全身疾患がある人で多く検出された。ロジスティック回帰分析の結果からは,口腔清掃状態および歩行能力の 2 つがカンジダ菌検出と関連する重要な独立した因子であることが明らかとなった。義歯装着や,全身疾患は,カンジダ菌検出と有意な関連を示さなかった。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.29.340