認知心理学に基づいた木質内装材の好ましさの評価(第1報) トドマツ材の節の量の違いが住宅の居間の内装材の評価に及ぼす影響

節の量が内装材の見た目の好ましさに及ぼす影響について,トドマツ腰壁材を用いて心理評価を実施した。評価には,人の選択や評価は,対象物のみではなく,対象物が用いられる状況や場所にも強く依存するという,認知心理学の知見を取り入れた。本研究では,節の面積率を因子とし,0~1.32%の範囲で4水準に設定した。また,腰壁材が使われる状況を明確にするため,住宅の居間を評価のシーンとして設定し,タイプの違う4種類の居間の画像を用いた。節の面積率については,その増加とともに好ましさは低減したが,面積率0.86%のまでは半数を超える被験者が,「好き」「やや好き」という肯定的な評価をした。分散分析の結果から,節の面...

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Published in木材学会誌 Vol. 62; no. 2; pp. 42 - 48
Main Authors 松本, 久美子, 川端, 康弘, 川等, 恒治, 斎藤, 直人, 佐々木, 三公子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本木材学会 25.03.2016
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ISSN0021-4795
1880-7577
DOI10.2488/jwrs.62.42

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Summary:節の量が内装材の見た目の好ましさに及ぼす影響について,トドマツ腰壁材を用いて心理評価を実施した。評価には,人の選択や評価は,対象物のみではなく,対象物が用いられる状況や場所にも強く依存するという,認知心理学の知見を取り入れた。本研究では,節の面積率を因子とし,0~1.32%の範囲で4水準に設定した。また,腰壁材が使われる状況を明確にするため,住宅の居間を評価のシーンとして設定し,タイプの違う4種類の居間の画像を用いた。節の面積率については,その増加とともに好ましさは低減したが,面積率0.86%のまでは半数を超える被験者が,「好き」「やや好き」という肯定的な評価をした。分散分析の結果から,節の面積率には有意差が確認されたが,居間の違いについては,主効果,交互作用とも有意差は見られなかった。結果より,被験者は個々の居間の印象よりも,居間という状況に沿った評価を優先させることが推察された。
ISSN:0021-4795
1880-7577
DOI:10.2488/jwrs.62.42