Basedow病患者331例における放射性ヨード(131I)治療の長期成績
Basedow病の131I治療後, 5~17年を経た331例を追跡調査し,このうちすでに甲状腺薬の投与を受けていた甲状腺機能低下症25例を除く, 306例については甲状腺機能検査を行なつた. 306例中,甲状腺刺激ホルモン(TSH)が10μU/ml以下と正常であつたものは188例(61.4%)で,うち151例では完全寛解にあつた. TSHが10μU/ml以上の高値であつたものは118例(38.6%)で,このうちthyroxine (T4)とtriiodothyronine (T3)がともに低値で機能低下症であつたものは22例であり,さらにT3は正常であつたがT4が低値の38例中の14例でも,理...
Saved in:
Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 724 - 732 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
01.07.1979
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.68.724 |
Cover
Summary: | Basedow病の131I治療後, 5~17年を経た331例を追跡調査し,このうちすでに甲状腺薬の投与を受けていた甲状腺機能低下症25例を除く, 306例については甲状腺機能検査を行なつた. 306例中,甲状腺刺激ホルモン(TSH)が10μU/ml以下と正常であつたものは188例(61.4%)で,うち151例では完全寛解にあつた. TSHが10μU/ml以上の高値であつたものは118例(38.6%)で,このうちthyroxine (T4)とtriiodothyronine (T3)がともに低値で機能低下症であつたものは22例であり,さらにT3は正常であつたがT4が低値の38例中の14例でも,理学的に機能低下状態にあつた.このことより, TSHの上昇は直ちに治療を必要とするような機能低下症を意味するものではないにしても,これにT4の低値が加われば機能低下発生の危険度は増強するものと思われた.追跡し得た331例中の機能低下症は,全体として61例(18.4%)であり,治療後10年の例では20.7%, 15~17年では40%であつた.またTSH高値例の頻度は, 10年後で50%, 15~17年後で60%に達した.機能低下症と, TSH高値例との,それぞれの群における全例数に対する,各年ごとの例数の頻度の和を累積していつたところ,両群とも明らかに直線的に増加していつた.このことは,各年ごとの例におけるT4とT3の平均値が,年数の経過につれて明らかに直線的に低下し,またTSHが直線的に上昇していく傾向と符合していた. |
---|---|
ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.68.724 |