入院直後に破裂し緊急手術で救命した膵仮性嚢胞の1例

症例は73歳,男性.3日前より腹部膨満と食欲低下を認め,腹痛のため前医を受診し腹膜炎の診断で当院に紹介となった.入院時の腹部CTでは胃後壁を背側より圧排し膵体尾部と連続した長径13cm大の嚢胞性腫瘤を認め,また膵体部主膵管に一致して小石灰化像を認め膵尾部主膵管が軽度拡張していた.アルコール飲酒歴もあり,膵石を伴う膵仮性嚢胞と診断し入院としたが,入院後2時間後に突然著明な腹痛を訴え腹部は板状硬となった.腹部CTを再検すると嚢胞は縮小し肝,脾外側およびダグラス窩に腹水を認めた.膵仮性嚢胞破裂による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.開腹すると暗褐色漿液性の腹水が貯留しており胃後壁から膵尾部に位置...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 8; pp. 2481 - 2485
Main Authors 阪本, 研一, 小久保, 健太郎, 関野, 誠史郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.2481

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Summary:症例は73歳,男性.3日前より腹部膨満と食欲低下を認め,腹痛のため前医を受診し腹膜炎の診断で当院に紹介となった.入院時の腹部CTでは胃後壁を背側より圧排し膵体尾部と連続した長径13cm大の嚢胞性腫瘤を認め,また膵体部主膵管に一致して小石灰化像を認め膵尾部主膵管が軽度拡張していた.アルコール飲酒歴もあり,膵石を伴う膵仮性嚢胞と診断し入院としたが,入院後2時間後に突然著明な腹痛を訴え腹部は板状硬となった.腹部CTを再検すると嚢胞は縮小し肝,脾外側およびダグラス窩に腹水を認めた.膵仮性嚢胞破裂による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.開腹すると暗褐色漿液性の腹水が貯留しており胃後壁から膵尾部に位置する嚢胞を認めた.嚢胞周囲の炎症所見が著明であり膵尾部脾合併切除術を施行した.術後に切離断端からの膵液瘻を生じたが膵管ステント留置にて軽快した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2481