前頚部巨大腫瘤を主症状としたサルコイドーシスの1例
前頚部巨大腫瘤を主症状とし,胸部X線像で一過性の多発性結節陰影を呈するという特異な病像を示したサルコイドーシス(サ症)の1症例を報告する.症例は38才,女.昭和51年3月頃から左顎下腺が腫脹し某病院で摘出術を受け,慢性唾液腺炎と診断され放置していた.昭和53年4月頃から左側頚部腫瘤出現し漸次腫大し前頚部全体を占めるにいたり昭和56年1月当科入院した.前頚部全体を占める腫瘤,表在リンパ節腫脹を認め,肝2横指,脾4横指触知し左末梢性顔面神経麻痺を認めた.検血で貧血なく,リンパ球数の軽度減少を認めた.血沈促進しγ-グロブリン特にIgGの増加を認め,血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性,血清リゾ...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 72; no. 3; pp. 308 - 314 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
01.03.1983
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ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.72.308 |
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Summary: | 前頚部巨大腫瘤を主症状とし,胸部X線像で一過性の多発性結節陰影を呈するという特異な病像を示したサルコイドーシス(サ症)の1症例を報告する.症例は38才,女.昭和51年3月頃から左顎下腺が腫脹し某病院で摘出術を受け,慢性唾液腺炎と診断され放置していた.昭和53年4月頃から左側頚部腫瘤出現し漸次腫大し前頚部全体を占めるにいたり昭和56年1月当科入院した.前頚部全体を占める腫瘤,表在リンパ節腫脹を認め,肝2横指,脾4横指触知し左末梢性顔面神経麻痺を認めた.検血で貧血なく,リンパ球数の軽度減少を認めた.血沈促進しγ-グロブリン特にIgGの増加を認め,血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性,血清リゾチーム値はともに上昇していた.胸部X線像にてBHLは認めず一過性の多発性結節陰影を認めた.ツ反応陰性.リンパ節,頚部腫瘤,肝の生検組織像にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めKveimテスト陽性より本症例をサ症と診断した.副腎皮質ホルモン療法にて頚部腫瘤,肝,脾は急速に縮小し血清ACE活性, IgGも正常に復した.なお本症例の末梢リンパ球機能検査にてConA induced suppressor能低下を認めた.本症例のごとき巨大腫瘤を呈したサ症の報告は検索しえた限り1例もなく,非常に希な病像を呈したサ症の1症例と考え報告する. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.72.308 |