AIDAモデルの起源 誰がAIDAモデルを発明・定式化したのか

研究目的:ほとんどすべての広告研究者は,1925年のEdward K. Strong Jr. の研究に基づいて,1898年にE. St. Elmo LewisがAIDAを発明したと信じてきた。しかし,これは不正確で不十分な歴史研究による大きな誤解である。本稿では,先行研究のレビューと本研究で新たに発見された何十もの文献を参照することにより,AIDAモデルの起源を探究することを目的とする。デザインと方法:本研究は,これまで知られていなかったものも含め,広範な一次資料を網羅する学説史研究の手法に基づいている。AIDAの起源に関するいくつかのデジタル・アーカイブやウェブサイトにアクセスし,文献を検索...

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Published inマーケティング史研究 Vol. 3; no. 2; pp. 150 - 166
Main Author 岩本, 明憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published マーケティング史学会 30.09.2024
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ISSN2436-8342
DOI10.51102/jmhr.3.2_53

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Summary:研究目的:ほとんどすべての広告研究者は,1925年のEdward K. Strong Jr. の研究に基づいて,1898年にE. St. Elmo LewisがAIDAを発明したと信じてきた。しかし,これは不正確で不十分な歴史研究による大きな誤解である。本稿では,先行研究のレビューと本研究で新たに発見された何十もの文献を参照することにより,AIDAモデルの起源を探究することを目的とする。デザインと方法:本研究は,これまで知られていなかったものも含め,広範な一次資料を網羅する学説史研究の手法に基づいている。AIDAの起源に関するいくつかのデジタル・アーカイブやウェブサイトにアクセスし,文献を検索した。所見:E. St. Elmo LewisがAIDAを発明し定式化したという支配的仮説は,裏付けがないか極めて脆弱な証拠に基づいている。1898年前後にLewisがAIDAの原型を発明したことを示す証拠は存在しない。研究の意味と限界:Arthur Frederick Sheldonは,Lewisや他の研究者よりもずっと早く,第4の言葉の重要性とAIDAの理論化の必要性を認識していた。したがって(Lewisではなく)SheldonこそがAIDAの創始者であるとみなすことができる。Frank H. DukesmithとArthur Frederick SheldonはAIDAの定式化に決定的な貢献をした。独創性と価値:本研究の重大な発見は,先行研究においてほとんど知られてこなかった内容を多く含むものであり,代表的な広告理論のより正確な歴史を提供するものである。正確な歴史は学問の適切な発展のために不可欠であり,広告理論も例外ではない。
ISSN:2436-8342
DOI:10.51102/jmhr.3.2_53