倫理的意思決定:原則と関係性

看護における倫理的な意思決定について2つの事例を通して述べる。これには、価値の対立の状況や倫理的な不確かさを明らかにし、理解のために必要不可欠な事例の諸側面を集め、方法に基づく秩序だった分析を行い、より良い倫理的な成果に到達するために対人関係技能という徳を用いる能力が含まれる。倫理的な不確かさや価値の対立の影響を受けやすい状況として、非健康的な行動をとる患者、好みに応じる条件を有する患者、曖昧な確かさを持つ状況が明らかにされる。倫理的な不確かさを持つ状況を十分に理解するために不可欠な5つの側面について検討される。すなわち、1)事実、2)問題解決に必要な決定、3)問題解決のために必要とされる重要...

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Published in日本看護倫理学会誌 Vol. 5; no. 1; pp. 84 - 102
Main Author 田中, 美恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護倫理学会 15.03.2013
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ISSN2434-7361
DOI10.32275/jjne.5.1_84

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Summary:看護における倫理的な意思決定について2つの事例を通して述べる。これには、価値の対立の状況や倫理的な不確かさを明らかにし、理解のために必要不可欠な事例の諸側面を集め、方法に基づく秩序だった分析を行い、より良い倫理的な成果に到達するために対人関係技能という徳を用いる能力が含まれる。倫理的な不確かさや価値の対立の影響を受けやすい状況として、非健康的な行動をとる患者、好みに応じる条件を有する患者、曖昧な確かさを持つ状況が明らかにされる。倫理的な不確かさを持つ状況を十分に理解するために不可欠な5つの側面について検討される。すなわち、1)事実、2)問題解決に必要な決定、3)問題解決のために必要とされる重要な区別の明確化、4)社会的文脈の影響の明確化、5)関連する権力と権限の系統の明確化である。倫理的な分析は、多元的な連続体のなかでバランスをとることとして記述される。価値の対立や倫理的な不確かさに対するアプローチとして、諸原則と卓越した倫理的な関係技能とを結合したアプローチと、権利のみに依拠したアプローチとが比較され、それによって対人関係技能の価値が明らかにされる。
ISSN:2434-7361
DOI:10.32275/jjne.5.1_84