茶作業従事者における膝関節障害
茶作業従事者における膝関節障害について178名にアンケート調査を行い, このうち42名を直接検診した. また膝痛を主訴として当科を受診した茶作業従事者を合わせ33名のX線所見を検討した. アンケート調査の178名中54名(30.3%)に膝痛が見られ, 男性は74名中14名(18.9%), 女性は104名中40名(38.5%)であり, 明らかに女性で高率である. また年令の増加に従い膝痛を有する頻度は増大するが, 茶作業従事年数, 作業時間との明らかな相関は見られない. 作業地を平地, 傾斜が30度以下の傾斜地, 30度以上の山地の3群に分けると, 膝痛を有する頻度は, 平地25.0%, 傾斜地...
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| Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 72 - 75 |
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| Main Authors | , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本農村医学会
01.05.1986
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0468-2513 1349-7421 |
| DOI | 10.2185/jjrm.35.72 |
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| Summary: | 茶作業従事者における膝関節障害について178名にアンケート調査を行い, このうち42名を直接検診した. また膝痛を主訴として当科を受診した茶作業従事者を合わせ33名のX線所見を検討した. アンケート調査の178名中54名(30.3%)に膝痛が見られ, 男性は74名中14名(18.9%), 女性は104名中40名(38.5%)であり, 明らかに女性で高率である. また年令の増加に従い膝痛を有する頻度は増大するが, 茶作業従事年数, 作業時間との明らかな相関は見られない. 作業地を平地, 傾斜が30度以下の傾斜地, 30度以上の山地の3群に分けると, 膝痛を有する頻度は, 平地25.0%, 傾斜地32.6%, 山地45.5%と傾斜が増大するに従って高頻度となる. 臥位・立位でのQ-angleの差は山地群で大きく, 膝痛を有する群でも大きい. X線所見では全例に内側関節裂隙の変形性変化が見られるが, 膝蓋大腿関節の変形性変化は傾斜の強い作業地ほど高率に見られ, 山地群では全例に見られる. 傾斜地では膝・股関節屈曲位で作業を行なうため姿勢の保持, 移動のため大腿四頭筋, 下腿三頭筋の強い収縮を要し, 膝関節への負荷が大きく, 変形性膝関節症変化を引き起こし易いと考えられる. 膝関節障害の予防として, 斜面では足場の改善, 集積・運搬の機械化とともに斜面の昇降回数を減らし, 適度な休憩を設ける必要がある. 大腿四頭筋の筋力強化, 肥満の防止も重要である. |
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| ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
| DOI: | 10.2185/jjrm.35.72 |