パーソナリティ認知の多次元的研究 (2) 被験者の発達段階およびStimulus Personによる次元の変動性について

本論文の目的は, パーソナリティ認知における次元の一般性を研究することにある. 特に, 被験者の発達段階および用いられた種々な刺激人物 (SP) を通じての次元の安定性を分析することを狙いとした. 被験者としては小学校5年生, 中学校2年生, 高校2年生, 大学2年生であった. 4種の年令群の各々の被験者数は, ほぼ100名から200名位であった. 8種の刺激人物が呈示された. 即ち, 父・母・きょうだい・友達・教師などである. 予備実験の結果から選択された45語のパーソナリティ特性語が用いられた. すべての特性語対間の類似性データが距離データに変換された後, Carroll & Ch...

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Published in実験社会心理学研究 Vol. 21; no. 2; pp. 121 - 128
Main Authors 内田, 敏夫, 松原, 敏浩
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本グループ・ダイナミックス学会 20.02.1982
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ISSN0387-7973
1348-6276
DOI10.2130/jjesp.21.121

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Summary:本論文の目的は, パーソナリティ認知における次元の一般性を研究することにある. 特に, 被験者の発達段階および用いられた種々な刺激人物 (SP) を通じての次元の安定性を分析することを狙いとした. 被験者としては小学校5年生, 中学校2年生, 高校2年生, 大学2年生であった. 4種の年令群の各々の被験者数は, ほぼ100名から200名位であった. 8種の刺激人物が呈示された. 即ち, 父・母・きょうだい・友達・教師などである. 予備実験の結果から選択された45語のパーソナリティ特性語が用いられた. すべての特性語対間の類似性データが距離データに変換された後, Carroll & Chang (1970) の多次元尺度構成法 (INDSCAL) が適用された. 5次元解が採用された. 得られた結果は, 次の通りであった. (1) 5次元の内容は “社会的評価” , “強靱性” , “個人的親しみ易さ” , “快適さ” , “明るさ” と解釈された. 後者の二つの次元の布置に部分的に特異なパターンが見られた. (2) 各次元は実質的には相互に独立であった. (1) で述べられた五つの次元の順序は, ウェイト値から見た相対的重要度と正の単調関係にあった. (3) ウェイトを分析すると, すべての年令段階において “社会的評価” が最も重要であることが見出された. そして, “強靱性” , “個人的親しみ易さ” および “明るさ” , の三つは, 年令段階の増加に伴ってウェイトを増加させたが, “快適さ”はウェイトを減少させた. (4) 刺激人物 (SP) のすべての種類についてもまた, “社会的評価” が最も重要であり, 次いで “強靱性” , さらに “個人的親しみ易さ” となった. “快適さ” と “明るさ” においては, 刺激人物 (SP) の問で重要度に関して少なからぬ差異が認められた.
ISSN:0387-7973
1348-6276
DOI:10.2130/jjesp.21.121