肝星細胞にかんする研究 第5報網内系機能検査法としてのCongo red法の再吟味

Congo red試験は,わが国において網内系機能検査法として,広く用いられてきた.しかし本法に対する異議も存在する.第1は本法を単なる肝機能検査法とするものであり,第2は本法は1923年Bennholdによつてamyloidosisの検査法として用いられていることである.われわれはすでにトリチウムコンゴーレッドを用いて本法の再吟味を行ない報告した.今回はアイソトープ非ラベルコンゴーレッドを用いて, Congo redの組織学的分布,血管よりのクリアランス,胆汁内排泄などについて検討を行なつた.その結果,凍結切片の光学顕微鏡による検討では,投与されたCongo redが少量の場合には肝星細胞だ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内科学会雑誌 Vol. 63; no. 2; pp. 124 - 133
Main Authors 山形, 敞一, 清治, 邦夫, 野村, 暢郎, 阿部, サナエ, 大内, 栄悦, 三浦, 清美, 渡部, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.02.1974
Online AccessGet full text
ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.63.124

Cover

More Information
Summary:Congo red試験は,わが国において網内系機能検査法として,広く用いられてきた.しかし本法に対する異議も存在する.第1は本法を単なる肝機能検査法とするものであり,第2は本法は1923年Bennholdによつてamyloidosisの検査法として用いられていることである.われわれはすでにトリチウムコンゴーレッドを用いて本法の再吟味を行ない報告した.今回はアイソトープ非ラベルコンゴーレッドを用いて, Congo redの組織学的分布,血管よりのクリアランス,胆汁内排泄などについて検討を行なつた.その結果,凍結切片の光学顕微鏡による検討では,投与されたCongo redが少量の場合には肝星細胞だけに摂取されるが,大量の場合には,そのほかに脾細網細胞,大腸および肺の間質性単核細胞によつても軽度の摂取が認められる.以上のCongo red摂取は総胆管閉塞時,網内系亢進薬投与によつて変化しないが,結合織内への浸潤,血管壁への沈着が認められた.次にヒト血清,ラット血清にin vivo, in vitroにCongo redを添加し,電気泳動を行ない, Congo redは血清アルブミンと一致して泳動するが,胆汁および尿中に排泄された色素は血清蛋白の泳動と一致せず, Cong red水溶液の泳動と一致していた.以上の成績,過去のわれわれ,および諸家の成績より.静注されたCongo redの生体内運命についての,模式図を示し,同時にamyloidosisのCongo red試験について論じた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.63.124