血漿カテコールアミンの日内変動 脳血管障害患者における検討

健常者の血漿カテコールアミンは日内変動を示すことが知られている.著者らは脳卒中患者を対象にし中枢神経障害がこのリズムにどのような影響を及ぼすかについて検討した.発症後2週間以上経過し, 比較的症状の安定した脳卒中患者16例を対象とし, 午前9時から3時間毎に計9回の採血を行い, 血漿ノルエピネフリン (NE) とエピネフリン (Ep) の変化を観察した.意識清明な患者群7例の血漿NEならびにEpは日中は高値を, 夜間は低値を示し, 日内変動が認められた.植物状態あるいはそれに近い状態の患者群6例では, 日内変動が消失してパターンは平坦化し, 意識清明群との違いは明らかであった.脳幹部障害3例の...

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Published in脳卒中 Vol. 5; no. 1; pp. 46 - 53
Main Authors 北井, 則夫, 神田, 直, 福井, 光文, 日野, 英忠, 田崎, 義昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.03.1983
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.5.46

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Summary:健常者の血漿カテコールアミンは日内変動を示すことが知られている.著者らは脳卒中患者を対象にし中枢神経障害がこのリズムにどのような影響を及ぼすかについて検討した.発症後2週間以上経過し, 比較的症状の安定した脳卒中患者16例を対象とし, 午前9時から3時間毎に計9回の採血を行い, 血漿ノルエピネフリン (NE) とエピネフリン (Ep) の変化を観察した.意識清明な患者群7例の血漿NEならびにEpは日中は高値を, 夜間は低値を示し, 日内変動が認められた.植物状態あるいはそれに近い状態の患者群6例では, 日内変動が消失してパターンは平坦化し, 意識清明群との違いは明らかであった.脳幹部障害3例のうち2例では24時間を通して血漿NE値の不規則な変動がみられ, 交感神経機能が不安定な状態にあることが推測された.以上の結果から, 中枢神経系の重篤な障害はカテコールアミンの日内変動に大きな影響を及ぼし, 精神活動, 障害部位によって左右される可能性が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.5.46