咽頭痛を主訴に来院した無顆粒球症の1例

咽頭痛, 発熱を主訴に, 20歳の男性が当院を受診した.インフルエンザと診断され他院で, 1週間にわたり6種類の抗生剤と4種類の解熱鎮痛剤等による治療を受けたが38から39度の発熱が持続し, 摂食障害も出現するようになった.初診時には, 38.3℃ の発熱と急性扁桃炎, 重度の歯肉炎を認めた.現病歴と血液検査より薬物性の無顆粒球症と診断した.白血球数1100/ulに対しリンパ球79%, 好中球0%という結果であった. 同日, 緊急入院のうえ感染予防のため隔離し, 原因と思われる薬剤の中止, 抗生剤の変更, γ-グロブリン, G-CSFによる治療を開始した.第5病日には白血球の増加を認め, 咽頭...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 13; no. 3; pp. 401 - 406
Main Authors 黒田, 浩之, 鳥山, 満由, 田中, 博紀, 土井, 清司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 01.06.2001
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology1989.13.401

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Summary:咽頭痛, 発熱を主訴に, 20歳の男性が当院を受診した.インフルエンザと診断され他院で, 1週間にわたり6種類の抗生剤と4種類の解熱鎮痛剤等による治療を受けたが38から39度の発熱が持続し, 摂食障害も出現するようになった.初診時には, 38.3℃ の発熱と急性扁桃炎, 重度の歯肉炎を認めた.現病歴と血液検査より薬物性の無顆粒球症と診断した.白血球数1100/ulに対しリンパ球79%, 好中球0%という結果であった. 同日, 緊急入院のうえ感染予防のため隔離し, 原因と思われる薬剤の中止, 抗生剤の変更, γ-グロブリン, G-CSFによる治療を開始した.第5病日には白血球の増加を認め, 咽頭痛も改善した.その後も順調に経過し第17病日に退院した. 局所所見では口腔咽頭粘膜や口蓋扁桃の壊死性潰瘍病変が特徴的とされているが, 本症例では潰瘍性病変は認められなかった. 薬剤投与中には, 常に本病態の存在を疑い血液検査を行うことが重要と考える.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology1989.13.401