超高齢社会に向き合う老年看護の課題

はじめに 日本は世界に例をみない高齢化が進んでいる.高齢化社会という用語は,1965年の国連の報告書において,当時の欧米先進国の水準を基に65歳以上の人口が7%以上を高齢化した(Aged)人口と呼んでいたことに由来するのではないかといわれている.さらに,7%の2倍の14%を超えると高齢社会と呼び,3倍の21%を超えたところで超高齢社会(super-aged society)と言うようになり,国際比較の指標に用いられてきた.わが国は,1970(昭和45)年に高齢化社会に,1994(平成6)年に高齢社会になり,2007(平成19)年には超高齢社会となった.しかも,高齢化はさらに進行して2025年に...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 15; no. 2; pp. 4 - 9
Main Author 小泉 美佐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 15.06.2011
一般社団法人 日本老年看護学会
Japan Academy of Gerontological Nursing
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ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.15.2_4

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Summary:はじめに 日本は世界に例をみない高齢化が進んでいる.高齢化社会という用語は,1965年の国連の報告書において,当時の欧米先進国の水準を基に65歳以上の人口が7%以上を高齢化した(Aged)人口と呼んでいたことに由来するのではないかといわれている.さらに,7%の2倍の14%を超えると高齢社会と呼び,3倍の21%を超えたところで超高齢社会(super-aged society)と言うようになり,国際比較の指標に用いられてきた.わが国は,1970(昭和45)年に高齢化社会に,1994(平成6)年に高齢社会になり,2007(平成19)年には超高齢社会となった.しかも,高齢化はさらに進行して2025年には老年人口の割合は30.5%となると推計されている(厚生統計協会,2010).この2025年は第二次世界大戦後のベビーブーマー,団塊の世代が後期高齢期に達することが見込まれる年であり,遡る2015年は前期高齢期に達する年である.国の高齢化対策も,2015年から2025年を見通しての対策が立てられているようである.そして,平成21年簡易生命表によると,男の平均寿命は79.59年,女86.44年で(厚生統計協会,2010),人生80年と言わず90年の時代が訪れようとしている.長寿世界一は確かに世界に誇れるものであるが,急激な少子高齢化に対する対策,社会保障の国のグランドデザインが見えない現状において,老後の安心は見えてこない.本学術集会が開催された2010年には,はからずも100歳以上高齢者の行方不明の問題が明るみに出て「無縁社会」という言葉が年末の流行語に選ばれた.私自身,今年,前期高齢者の仲間入りとなったが「老後は大丈夫?」と質問されると「不安だ」と答えることになる.しかし,看護の立場から超高齢社会の高齢者1人ひとりが心身ともに健康に過ごし「長生きして良かった」と思えるように支援していくことを述べなければならない.自分自身の生き方も前向きにということで,超高齢社会と向き合う老年看護の課題について,高齢者の健康づくり,認知症高齢者のケア,高齢者の終末期ケアに視点を当てて述べてみる.
Bibliography:日本老年看護学会第15回学術集会特集会長講演
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.15.2_4