中等度・重度痴呆症高齢者が経験している世界についての研究
本研究の目的は中等度・重度の痴呆症にある高齢者が経験している世界を明らかにすることである.老人性痴呆療養病棟に入院中の65歳以上のアルツハイマー型痴呆症高齢者5名を対象に,著者がケアをしながら行った会話を質的・帰納的方法で分析した. 彼らはわずかの言葉であったが,痴呆症とともに生きるなかで経験している世界を示した.彼等の世界は「物忘れを自覚し,そのことにいくらか疑問をもっている」,「他の人とうまく折り合うために我慢するなど努力している」,「混乱するが,それは長続きをしていない」,「することがない,寂しいと感じている」の4つのカテゴリーで示された. 彼らが自分の物忘れを自覚して疑問をもっていたり...
        Saved in:
      
    
          | Published in | 日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 5; no. 1; pp. 88 - 95 | 
|---|---|
| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本老年看護学会
    
        01.11.2000
     一般社団法人 日本老年看護学会 Japan Academy of Gerontological Nursing  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 1346-9665 2432-0811  | 
| DOI | 10.20696/jagn.5.1_88 | 
Cover
| Summary: | 本研究の目的は中等度・重度の痴呆症にある高齢者が経験している世界を明らかにすることである.老人性痴呆療養病棟に入院中の65歳以上のアルツハイマー型痴呆症高齢者5名を対象に,著者がケアをしながら行った会話を質的・帰納的方法で分析した. 彼らはわずかの言葉であったが,痴呆症とともに生きるなかで経験している世界を示した.彼等の世界は「物忘れを自覚し,そのことにいくらか疑問をもっている」,「他の人とうまく折り合うために我慢するなど努力している」,「混乱するが,それは長続きをしていない」,「することがない,寂しいと感じている」の4つのカテゴリーで示された. 彼らが自分の物忘れを自覚して疑問をもっていたり,他の人とうまく生きるために努力したりしている経験は,看護者により支持されるべきである.また,混乱が少なく安定しているように見受けられた彼らが「寂しい」と述べたことから,その意味と援助を考えることが看護者の今後の課題である. | 
|---|---|
| Bibliography: | 原著 | 
| ISSN: | 1346-9665 2432-0811  | 
| DOI: | 10.20696/jagn.5.1_88 |