外来化学療法を受ける転移・再発乳がん患者に生じる複数の症状の主観的体験と対処に関する質的研究

要旨目的:外来化学療法中の転移・再発乳がん患者に生じる複数の症状の主観的体験と対処の実態を明らかにする.方法:転移・再発乳がん患者20名に半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した.結果:対象者は【幾重にも重なった症状で日常生活が滞る感覚に苛まれる】【自分で症状をコントロールできずにもどかしい】【この先も化学療法を継続できるのか危ぶまれる】という体験のなか,【複数の症状とうまく付き合う術を探る】【各症状の出現パターンから今後の見通しを立てる】【傷んだ身体への更なるダメージを避ける】という対処の実態が導かれた.結論:外来看護は,複数の症状による患者の生活への支障を網羅的に捉え,テーラーメイドなケ...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 37; no. 1; pp. 417 - 425
Main Authors 浅海 くるみ, 村上 好恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 2017
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.37.417

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Summary:要旨目的:外来化学療法中の転移・再発乳がん患者に生じる複数の症状の主観的体験と対処の実態を明らかにする.方法:転移・再発乳がん患者20名に半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した.結果:対象者は【幾重にも重なった症状で日常生活が滞る感覚に苛まれる】【自分で症状をコントロールできずにもどかしい】【この先も化学療法を継続できるのか危ぶまれる】という体験のなか,【複数の症状とうまく付き合う術を探る】【各症状の出現パターンから今後の見通しを立てる】【傷んだ身体への更なるダメージを避ける】という対処の実態が導かれた.結論:外来看護は,複数の症状による患者の生活への支障を網羅的に捉え,テーラーメイドなケアの提案が必要である.それには転移再発という不確実な状況下で培われた患者の経験値に着目した介入が有効と考える.今後は,患者の生活に支障を与えるトリガーとなるコア症状の特定とアセスメントツールの開発が必要である.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.37.417