褥婦の腹直筋回復過程の筋活動電位による評価

要旨 本研究は,産褥期における腹直筋の筋力回復過程を明らかにすることを目的として,腹直筋の筋活動電位を測定し,対象者の属性および分娩時の状況との関連について分析した.初産婦29名(年齢29.0±2.9歳,身長158.7±4.7cm,体重49.9±4.2kg)を対象に,妊娠15週から25週の間で1回,産褥1日目から5日目の毎日,産褥2週,1カ月,2カ月および3カ月目に測定を行った.右上部腹直筋に貼付した電極により,アブドミナルカールの動作における筋活動電位を測定し,全波整流した後,台形公式を用いて200msecごとに連続的に積分して標準化した値を筋活動量とした.腹直筋の筋活動量回復には2カ月を要...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 28; no. 3; pp. 69 - 78
Main Authors 長屋 桂子, 箕浦 哲嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 25.09.2008
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.28.3_69

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Summary:要旨 本研究は,産褥期における腹直筋の筋力回復過程を明らかにすることを目的として,腹直筋の筋活動電位を測定し,対象者の属性および分娩時の状況との関連について分析した.初産婦29名(年齢29.0±2.9歳,身長158.7±4.7cm,体重49.9±4.2kg)を対象に,妊娠15週から25週の間で1回,産褥1日目から5日目の毎日,産褥2週,1カ月,2カ月および3カ月目に測定を行った.右上部腹直筋に貼付した電極により,アブドミナルカールの動作における筋活動電位を測定し,全波整流した後,台形公式を用いて200msecごとに連続的に積分して標準化した値を筋活動量とした.腹直筋の筋活動量回復には2カ月を要することが明らかとなり,褥婦の体形に対する不安を軽減する目安となると考えられる.また分娩時出血量と筋活動量の間に負の相関が認められ(r=-0.424),分娩時出血量に応じた保健指導を可能にすると考えられる.最後に,母乳哺育群は混合哺育群より,産褥1カ月目において筋活動量が有意に高いことが明らかとなり(p<0.05),母乳哺育の利点の一つとして保健指導に活用できると考えられる.
Bibliography:研究報告
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.28.3_69