外来で分子標的治療を受けるがん患者の症状体験とQOLの関連
要旨 本研究の目的は,外来で分子標的治療を受けるがん患者の症状体験とQOLとの関連を明らかにすることである.上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬による分子標的治療を受けているがん患者29名(平均年齢63.9歳)を対象とし,自記式質問紙調査法と診療録からのデータ収集による調査を行った.質問紙は,個人属性,症状体験(がん患者用の症状評価尺度MDASI-Jと皮膚症状の強さ),QOL(QOL-ACD)で構成した. 分析の結果,症状体験の下位尺度である「症状の強さ」は,QOL-ACDの下位尺度である活動性(rs=−.75;p<.01),身体状況(rs=−.58;p<.01),精神・心理状態(rs=−.4...
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Published in | 日本がん看護学会誌 Vol. 28; no. 3; pp. 5 - 12 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本がん看護学会
2014
一般社団法人 日本がん看護学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-6423 2189-7565 |
DOI | 10.18906/jjscn.2014-28-3-5 |
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Summary: | 要旨 本研究の目的は,外来で分子標的治療を受けるがん患者の症状体験とQOLとの関連を明らかにすることである.上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬による分子標的治療を受けているがん患者29名(平均年齢63.9歳)を対象とし,自記式質問紙調査法と診療録からのデータ収集による調査を行った.質問紙は,個人属性,症状体験(がん患者用の症状評価尺度MDASI-Jと皮膚症状の強さ),QOL(QOL-ACD)で構成した. 分析の結果,症状体験の下位尺度である「症状の強さ」は,QOL-ACDの下位尺度である活動性(rs=−.75;p<.01),身体状況(rs=−.58;p<.01),精神・心理状態(rs=−.44;p<.05),社会性(rs=−.47;p<.05)と,「症状による生活への支障」は,活動性(rs=−.78;p<.01),身体状況(rs=−.56;p<.01),精神・心理状態(rs=−.64;p<.01), 社会性(rs=−.55;p<.01)の4下位尺度および全般的QOL(rs=−.43;p<.05)と,「皮膚症状の強さ」は,活動性(rs=−.54;p<.05),身体状況(rs=−.60;p<.01)と有意な負の相関がみられた.外来で分子標的治療を受けるがん患者のQOL向上のためには継続した症状マネジメントの重要性が示唆された. |
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Bibliography: | 研究報告 |
ISSN: | 0914-6423 2189-7565 |
DOI: | 10.18906/jjscn.2014-28-3-5 |