がん関連領域の専門・認定看護師が捉える認知症を有するがん患者・家族に対する看護上の課題

要旨 本研究の目的は,がん関連領域の専門・認定看護師が捉える認知症がん患者や家族に対する看護上の課題を明らかにすることである.A県内の8施設11名を対象に半構造化面接を行った.面接内容は,質的記述的研究手法を参考に分析した. 結果,【認知症がん患者を尊重した治療選択支援の難しさ】【認知症がん患者の安全とQOLを保証したがん治療支援の難しさ】【認知症がん患者に適した生活環境調整の難しさ】【がんと認知症看護を統合した看護職への教育不足】【がんと認知症の専門性を活かした連携不足】【認知症とがんの合併による負担感を軽減するための家族支援の難しさ】の6課題が明らかとなった. これらの結果から,専門看護師...

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Published in日本がん看護学会誌 Vol. 35; no. 1; pp. 237 - 246
Main Authors 塚越 徳子, 二渡 玉江, 京田 亜由美, 瀬沼 麻衣子, 近藤 由香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本がん看護学会 10.09.2021
一般社団法人 日本がん看護学会
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ISSN0914-6423
2189-7565
DOI10.18906/jjscn.35_237_tsukagoshi

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Summary:要旨 本研究の目的は,がん関連領域の専門・認定看護師が捉える認知症がん患者や家族に対する看護上の課題を明らかにすることである.A県内の8施設11名を対象に半構造化面接を行った.面接内容は,質的記述的研究手法を参考に分析した. 結果,【認知症がん患者を尊重した治療選択支援の難しさ】【認知症がん患者の安全とQOLを保証したがん治療支援の難しさ】【認知症がん患者に適した生活環境調整の難しさ】【がんと認知症看護を統合した看護職への教育不足】【がんと認知症の専門性を活かした連携不足】【認知症とがんの合併による負担感を軽減するための家族支援の難しさ】の6課題が明らかとなった. これらの結果から,専門看護師・認定看護師は,認知症による記銘力・判断能力低下によって患者の意思や意向を十分に理解できず,認知症がん患者に対するがん治療効果やQOLへの影響に関するエビデンスが乏しいことで看護支援に対する確信をもてないと考えられた.安全対策を重視するあまり,認知症がん患者のQOL低下を引き起こしていることに倫理的ジレンマがあった.患者の治療・療養の場移行にともなう病院施設内外の看護師に対する認知症がん看護の質向上の重要性が示唆された.
Bibliography:原著
ISSN:0914-6423
2189-7565
DOI:10.18906/jjscn.35_237_tsukagoshi