在宅侵襲的人工呼吸療法を行う筋萎縮性側索硬化症患者が現在抱える困難と要望の内容と意味―前向きに生きる力Hopeとの関連から
要旨 目的:在宅侵襲的人工呼吸療法を行う筋萎縮性側索硬化症患者が現在抱える困難と要望の内容を把握し,前向きに生きる力Hopeとの関連からこれらの意味づけを行うこと. 方法:面接調査の結果をもとに作成した質問紙を用いた無記名配票調査を実施し,121ケースを分析対象とした.HopeレベルはHerth Hope Index尺度を用いた. 結果:現在抱える困難は幅広く,精神的・霊的苦悩,身体的苦痛および社会的困難に関するものであった.8割以上の患者が抱えかつ低いHopeと関連をもつ具体的困難は,意思表出困難,家族の介護負担や周囲の人への重荷意識などの精神的・霊的苦悩に関する内容が多くを占め,身体的苦痛...
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Published in | 日本看護科学会誌 Vol. 29; no. 4; pp. 41 - 50 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本看護科学学会
21.12.2009
公益社団法人 日本看護科学学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-5330 2185-8888 |
DOI | 10.5630/jans.29.4_41 |
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Summary: | 要旨 目的:在宅侵襲的人工呼吸療法を行う筋萎縮性側索硬化症患者が現在抱える困難と要望の内容を把握し,前向きに生きる力Hopeとの関連からこれらの意味づけを行うこと. 方法:面接調査の結果をもとに作成した質問紙を用いた無記名配票調査を実施し,121ケースを分析対象とした.HopeレベルはHerth Hope Index尺度を用いた. 結果:現在抱える困難は幅広く,精神的・霊的苦悩,身体的苦痛および社会的困難に関するものであった.8割以上の患者が抱えかつ低いHopeと関連をもつ具体的困難は,意思表出困難,家族の介護負担や周囲の人への重荷意識などの精神的・霊的苦悩に関する内容が多くを占め,身体的苦痛に関する内容は同一体勢による倦怠感であった.すべての患者から何らかの要望が表出され,8割以上の患者が,自宅での生活の継続,治療法の確立,家族の介護負担の軽減といった,高いHopeとは関連しない生活の基盤づくりを要望した. 結論:患者支援は,多くの患者が抱える困難と要望への支援に加えて,Hopeを維持・回復するという観点からも,Hopeとの関連をもつ困難の軽減・除去および要望の実現を目指すことが重要かつ効果的であること示唆された. |
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Bibliography: | 原著 |
ISSN: | 0287-5330 2185-8888 |
DOI: | 10.5630/jans.29.4_41 |