集中治療室に緊急入室した意識障害のある患者の家族援助に影響するエキスパートナースの直観に関する研究

要旨 目的:集中治療室に緊急入室した意識障害のある患者の家族に対し,エキスパートナースの直観は,その家族への援助にどのように影響しているのかを明らかにする. 方法:集中治療室のエキスパートナース6名を対象に半構造化面接を行った.Bergsonの直観を前提とし,直観を示す言葉,それに関連した思考や行為を抽出し,それぞれを質的記述的に分析した.また,場面全体を時系列に直し,直観から捉えた家族援助への影響を分析した. 結果:エキスパートナースの直観は家族の状況を瞬時に捉えていたことが明らかになった.その直観は,無意識に家族の目や口元などから家族の心情を推論していた.エキスパートナースは直観により家族...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 235 - 244
Main Authors 井上 和也, 酒井 明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 31.12.2014
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.34.235

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Summary:要旨 目的:集中治療室に緊急入室した意識障害のある患者の家族に対し,エキスパートナースの直観は,その家族への援助にどのように影響しているのかを明らかにする. 方法:集中治療室のエキスパートナース6名を対象に半構造化面接を行った.Bergsonの直観を前提とし,直観を示す言葉,それに関連した思考や行為を抽出し,それぞれを質的記述的に分析した.また,場面全体を時系列に直し,直観から捉えた家族援助への影響を分析した. 結果:エキスパートナースの直観は家族の状況を瞬時に捉えていたことが明らかになった.その直観は,無意識に家族の目や口元などから家族の心情を推論していた.エキスパートナースは直観により家族の不安定な状況や気持ちの変化などを認識しており,それに応じて観察や声かけなどの援助を行っていた.また,家族と出会った最初の直観と,以降の思考,行為がつながっていた. 結論:エキスパートナースは直観により動的な家族の内面を捉え,その解釈を踏まえながらより確かな援助へと導いており,思考と援助が連関していると考えられる.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.34.235