未破裂脳動脈瘤を持つ人々の体験と看護支援に関する研究―自然経過観察を選択した人々の生活体験

要旨 目的:本研究は未破裂脳動脈瘤に対し自然経過観察を選択した人々の生活体験を明らかにし看護支援への示唆を得ることを目的とした. 方法:現象学的アプローチを用いて,未破裂脳動脈瘤を1年以上経過観察している人々を対象に非構造化面接調査を実施した.データ分析にはGiorgiの分析方法を用いた. 結果:17名の対象者から得られた質的データ分析の結果,21の本質的要素が抽出された.それらはさらに(1)診断・療養体験(2)対処・生活再構築(3)瘤と共に生きる,の3側面に分けられた.対象者は『拭い去れない不安感』を抱えながらも『少しずつ生活範囲を拡大する』『破裂のリスクを最小限にする』などのさまざまな対処...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 30; no. 3; pp. 3 - 12
Main Authors 藤島 麻美, 井上 智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 21.09.2010
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.30.3_3

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Summary:要旨 目的:本研究は未破裂脳動脈瘤に対し自然経過観察を選択した人々の生活体験を明らかにし看護支援への示唆を得ることを目的とした. 方法:現象学的アプローチを用いて,未破裂脳動脈瘤を1年以上経過観察している人々を対象に非構造化面接調査を実施した.データ分析にはGiorgiの分析方法を用いた. 結果:17名の対象者から得られた質的データ分析の結果,21の本質的要素が抽出された.それらはさらに(1)診断・療養体験(2)対処・生活再構築(3)瘤と共に生きる,の3側面に分けられた.対象者は『拭い去れない不安感』を抱えながらも『少しずつ生活範囲を拡大する』『破裂のリスクを最小限にする』などのさまざまな対処を経て,最終的に『時と共に積み重なる自信と確証』を得ていた.また瘤と共に生きる側面は,『瘤を自分なりに捉え直す』『肯定的側面に目を向ける』『瘤との適度な距離を知り保つ』の3局面をたどっていた. 結論:予防行動と不安のバランス保持,捉え直しと肯定的側面への気付き,瘤との適度な距離の理解などの看護支援を併せたフォローアップを行うことが必要であることが示唆された.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.30.3_3