長期入院を経て退院に至った統合失調症患者の自己決定のプロセス

本研究は、長期入院の統合失調症患者がどのように自己決定をして退院に至ったのか、そのプロセスを明らかにすることを目的とした。1年以上の入院を経て退院した患者9名に半構成的面接を実施し、質的な分析を行った。さらに、入院時の診療記録等との関連を検討し、退院に至った自己決定のプロセスを分析した。その結果、管理的な環境での長期入院統合失調症患者は、退院の基準を自ら見出すことが困難で、退院の可否は医療者の判断に委ねてきた。退院意向のある患者は、決定の場に参加することで「自己の決定」と認識し、退院意向のなかった患者は、退院支援の実感や、関与の度合いによって「自己の決定」や「共同の決定」、「周囲の決定」と捉え...

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Published in日本看護倫理学会誌 Vol. 5; no. 1; pp. 40 - 45
Main Author 小山 明美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護倫理学会 15.03.2013
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ISSN1883-244X
2434-7361
DOI10.11477/mf.7001100081

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Summary:本研究は、長期入院の統合失調症患者がどのように自己決定をして退院に至ったのか、そのプロセスを明らかにすることを目的とした。1年以上の入院を経て退院した患者9名に半構成的面接を実施し、質的な分析を行った。さらに、入院時の診療記録等との関連を検討し、退院に至った自己決定のプロセスを分析した。その結果、管理的な環境での長期入院統合失調症患者は、退院の基準を自ら見出すことが困難で、退院の可否は医療者の判断に委ねてきた。退院意向のある患者は、決定の場に参加することで「自己の決定」と認識し、退院意向のなかった患者は、退院支援の実感や、関与の度合いによって「自己の決定」や「共同の決定」、「周囲の決定」と捉えていた。退院の決定には患者-看護師関係が影響し、決定を支援する看護師の8つの役割が明らかになった。
Bibliography:短報
ISSN:1883-244X
2434-7361
DOI:10.11477/mf.7001100081