トゲシラホシカメムシ(カメムシ目:カメムシ科)成虫の生理状態の季節変動と飛翔活動との関係

トゲシラホシカメムシの飛翔分散に関する基礎情報を明らかにするため,野外から採集した成虫の飢餓耐性,栄養状態,飛翔筋および卵巣発達程度の季節変動を調査した。25℃の無給水および無給餌条件下で飼育した雌成虫と雄成虫の平均生存日数はそれぞれ2.03日と1.84日であった。飢餓耐性は,越冬世代より当年世代の方が高かった。肥満度は,5月の越冬世代が最も高く6月以降では低下した。世代間では当年世代より越冬世代の方が高かった。雌成虫の飛翔筋の発達状態は季節によって大きく変動した。雌の卵巣発達程度は,5月下旬~6月中旬にかけて成熟個体の割合が高かったが,7月以降では成熟個体と未成熟個体が混在するようになった。...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 67; no. 4; pp. 97 - 106
Main Authors 八尾, 充睦, 高野, 源太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.11.2023
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ISSN0021-4914

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Summary:トゲシラホシカメムシの飛翔分散に関する基礎情報を明らかにするため,野外から採集した成虫の飢餓耐性,栄養状態,飛翔筋および卵巣発達程度の季節変動を調査した。25℃の無給水および無給餌条件下で飼育した雌成虫と雄成虫の平均生存日数はそれぞれ2.03日と1.84日であった。飢餓耐性は,越冬世代より当年世代の方が高かった。肥満度は,5月の越冬世代が最も高く6月以降では低下した。世代間では当年世代より越冬世代の方が高かった。雌成虫の飛翔筋の発達状態は季節によって大きく変動した。雌の卵巣発達程度は,5月下旬~6月中旬にかけて成熟個体の割合が高かったが,7月以降では成熟個体と未成熟個体が混在するようになった。飛翔個体と飛翔しない個体の生理状態は,越冬世代では肥満度に差がなく,卵巣発育の進んだ個体が飛翔した。これに対して当年世代では卵巣発育に差がなく,栄養状態の劣った個体が飛翔した。以上から,本種の当年世代は越冬世代に比べて分散型の生理的特性を示した。
Bibliography:950247
ZZ00014825
ISSN:0021-4914