土壌くん蒸剤3種のサツマイモネコブセンチュウ(ティレンクス目: メロイドギネ科)二期幼虫および卵に対する温度別殺虫効果

土壌くん蒸剤が効果を発揮しにくいと考えられる低温下での処理について,そのメカニズムや対処法を探るため,サツマイモネコブセンチュウを対象としたクロルピクリン,1,3-D,MITCによる圃場試験とin vitro試験を行った。圃場試験では,土壌気相中のガス濃度推移や積算濃度,防除効果を冬期処理と夏期処理で比較した。in vitro試験では,二期幼虫と卵の成育ステージ別に5,15,25℃における薬剤濃度別の反応を調査した。その結果クロルピクリンと1,3-Dでは,圃場試験において冬期で夏期よりも積算濃度が高まった一方で,低温によると考えられる薬効の低下が観察された。in vitro試験では,いずれの薬...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 64; no. 1; pp. 37 - 45
Main Authors 武田, 藍, 山本, 幸洋, 横山, とも子, 國友, 映理子, 小原, 裕三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.02.2020
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ISSN0021-4914

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Summary:土壌くん蒸剤が効果を発揮しにくいと考えられる低温下での処理について,そのメカニズムや対処法を探るため,サツマイモネコブセンチュウを対象としたクロルピクリン,1,3-D,MITCによる圃場試験とin vitro試験を行った。圃場試験では,土壌気相中のガス濃度推移や積算濃度,防除効果を冬期処理と夏期処理で比較した。in vitro試験では,二期幼虫と卵の成育ステージ別に5,15,25℃における薬剤濃度別の反応を調査した。その結果クロルピクリンと1,3-Dでは,圃場試験において冬期で夏期よりも積算濃度が高まった一方で,低温によると考えられる薬効の低下が観察された。in vitro試験では,いずれの薬剤においても低温による薬剤への感受性の低下が観察されるとともに,二期幼虫よりも卵に対する薬効の低下が認められたが,その程度は薬剤ごとに大きく異なった。クロルピクリンでは,温度にかかわらず卵において二期幼虫と比較して大幅な薬効の低下が認められた。1,3-Dでは,低温下において卵に対する薬効の低下が顕著であった。MITCでは温度にかかわらず卵に対する薬効の低下はわずかであった。以上のことから,冬期における土壌くん蒸処理では土壌中に残存した卵に対する薬効の確保が大きな課題であることが明らかとなった。
Bibliography:932020
ZZ00014825
ISSN:0021-4914