λDNAとリアルタイムPCRを用いた土壌DNA抽出効率の評価

土壌DNAに基づく土壌微生物の解析において,試料間のDNA抽出効率のばらつきは重要な問題である。本研究では,実用的な土壌DNA抽出効率の評価法を提示することを目的とした。土壌侵食により不均一な作土が分布する傾斜畑から採取した3種の黒ボク土試料(H,M,L)についてDNA抽出条件を最適化するとともに,DNA抽出効率を評価するために予め土壌に添加したλDNAの回収量をリアルタイムPCRで測定した。市販キットとスキムミルクを組み合わせた条件では3試料のうち試料LからのDNA抽出が困難であったが,スキムミルクに替えてカゼインNaを用いることで3種の試料全てについてDNA抽出が可能になった。試料H,M,...

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Published in土と微生物 Vol. 77; no. 1; pp. 40 - 46
Main Authors 森本, 晶, 伊勢, 裕太, 大友, 量, 高田, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.04.2023
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ISSN0912-2184

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Summary:土壌DNAに基づく土壌微生物の解析において,試料間のDNA抽出効率のばらつきは重要な問題である。本研究では,実用的な土壌DNA抽出効率の評価法を提示することを目的とした。土壌侵食により不均一な作土が分布する傾斜畑から採取した3種の黒ボク土試料(H,M,L)についてDNA抽出条件を最適化するとともに,DNA抽出効率を評価するために予め土壌に添加したλDNAの回収量をリアルタイムPCRで測定した。市販キットとスキムミルクを組み合わせた条件では3試料のうち試料LからのDNA抽出が困難であったが,スキムミルクに替えてカゼインNaを用いることで3種の試料全てについてDNA抽出が可能になった。試料H,M,LのDNA抽出効率はスキムミルク添加条件でそれぞれ30.3%,21.1%,0.001%だったのに対し,カゼインNa添加条件で29.6%,28.2%,22.6%であった。後者の条件における抽出効率に基づいて補正した土壌DNA抽出量はそれぞれ24.2,14.7,1.8μg/乾土だった。本研究で示した方法は,特にDNA抽出効率が異なる土壌における微生物の量的な解析の精度改善に役立つと期待される。
Bibliography:ZZ00016779
947436
ISSN:0912-2184