北海道の養殖ギンザケOncorhynchus kisutchから分離されたOncorhynchus masou virus(OMV)の病原性ならびに腫瘍原性

2017年に北海道の養殖場で飼育されるギンザケ成魚において,サケ科魚ヘルペスウイルス病(OMVD)が発生し,甚大な死亡被害が生じた。死亡したギンザケから分離したOMV CSHK-002株と1978年にサクラマスから分離されたOMV OO-7812株は,ギンザケおよびサクラマス対する病原性において明確に異なった。さらに,CSHK-002株はサケに対して50%以上の累積死亡率を示し,サケに対して高い致死性を示すことが明らかとなった。これまでギンザケから分離されたOMVは腫瘍原性を有すると考えられていたが,感染実験においてOMV CSHK-002株のギンザケに対する腫瘍原性は認められなかった。また当...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 71; no. 4; pp. 153 - 161
Main Authors 勝又, 義友, 水野, 伸也, 永田, 淳, 笠井, 久会
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.12.2023
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ISSN0371-4217

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Summary:2017年に北海道の養殖場で飼育されるギンザケ成魚において,サケ科魚ヘルペスウイルス病(OMVD)が発生し,甚大な死亡被害が生じた。死亡したギンザケから分離したOMV CSHK-002株と1978年にサクラマスから分離されたOMV OO-7812株は,ギンザケおよびサクラマス対する病原性において明確に異なった。さらに,CSHK-002株はサケに対して50%以上の累積死亡率を示し,サケに対して高い致死性を示すことが明らかとなった。これまでギンザケから分離されたOMVは腫瘍原性を有すると考えられていたが,感染実験においてOMV CSHK-002株のギンザケに対する腫瘍原性は認められなかった。また当該の養殖場でも2017年から2022年にかけてギンザケの腫瘍形成が認められなかった。以上により,OMV CSHK-002株はこれまで分離されたOMVとは異なる特性を有することが示唆された。
Bibliography:951216
ZZ00008678
ISSN:0371-4217