兵庫県神戸市岩岡におけるコナガ(Plutella xylostella L.)の各種薬剤に対する感受性の変遷

1986-2004年の19年間、兵庫県神戸市西区岩岡町のキャベツに発生するコナガについて、葉片浸漬法による3齢幼虫の薬剤感受性と、圃場試験による各種薬剤の密度抑制効果の変遷を調査した。感受性検定試験の結果、アセフェート水和剤およびPAP乳剤、ペルメトリン乳剤、クロルフルアズロン乳剤、カルタップ水溶剤、B kursaki生菌剤などの1996年以前に導入された散布薬剤に対しては、かつて著しい感受性低下が認められたが、1996年頃を境に感受性の回復傾向が認められた。一方、クロルフェナピルフロアブル剤およびエマメクチン安息香酸塩乳剤、スピノサド顆粒水和剤、B aizawai生菌剤など1996年以降に導...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 48; no. 4; pp. 337 - 343
Main Authors 諌山, 真二, 小川, 正臣, 笠松, 紀美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.11.2004
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ISSN0021-4914

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Summary:1986-2004年の19年間、兵庫県神戸市西区岩岡町のキャベツに発生するコナガについて、葉片浸漬法による3齢幼虫の薬剤感受性と、圃場試験による各種薬剤の密度抑制効果の変遷を調査した。感受性検定試験の結果、アセフェート水和剤およびPAP乳剤、ペルメトリン乳剤、クロルフルアズロン乳剤、カルタップ水溶剤、B kursaki生菌剤などの1996年以前に導入された散布薬剤に対しては、かつて著しい感受性低下が認められたが、1996年頃を境に感受性の回復傾向が認められた。一方、クロルフェナピルフロアブル剤およびエマメクチン安息香酸塩乳剤、スピノサド顆粒水和剤、B aizawai生菌剤など1996年以降に導入された散布薬剤に対しては、評価開始当初から2003年現在までコナガの明らかな感受性低下は認められず、維持されていた。圃場での密度抑制効果についても、2003-2004年の圃場試験結果からPAP乳剤およびカルタップ水溶剤、B kursaki生菌剤では密度抑制効果の回復が認められた。またアセフェート水和剤やクロルフルアズロン乳剤では明瞭ではないものの効果が回復する傾向が認められたが、その効果は未だ不十分な状態であった。しかし、ペルメトリン乳剤では依然として効果が低い状態が継続している。一方、クロルフェナピルフロアブル剤およびエマメクチン安息香酸塩乳剤、スピノサド顆粒水和剤、ピリダリルフロアブル剤、B aizawai生菌剤については、試験開始以来、未だに明らかな効果の低下は認められていない。1994年以前は新規剤を実用化しても数年以内に感受性が低下する例がほとんどであったのに対して、1996年以降に実用化された薬剤では明らかな感受性低下現象は認められておらず、本地域におけるコナガの薬剤感受性状況は1996年頃を境に大きく変化が起きたものと推察された。
Bibliography:703083
ZZ00014825
ISSN:0021-4914