5,6-ジヒドロチミジンを指標とした植物性乾燥食品の照射履歴の検知

放射線照射は,食品の殺菌と殺虫,農作物の発芽防止を目的として世界中で広く使用されている.しかし,日本では馬鈴薯の発芽防止を除いて食品への照射は禁止されている.放射線の照射によってDNA中のチミジン残基から生成する損傷ヌクレオシドである5,6-ジヒドロチミジン残基を指標として照射履歴の検知を試みた.8種類の植物性乾燥食品試料をガンマ線照射(3.2~8.3 kGy)した.試料からDNAを抽出後,DNAを3種類の酵素でヌクレオシドに分解して試験液を調製した.LC-MS/MSを用いて試験液中のチミジンに対する5,6-ジヒドロチミジンの濃度比を測定し,これを検知指標とした.その値は照射した線量に依存的で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 64; no. 6; pp. 206 - 213
Main Authors 藤原, 拓也, 古田, 雅一, 高取, 聡, 福井, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.12.2023
日本食品衛生学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.64.206

Cover

More Information
Summary:放射線照射は,食品の殺菌と殺虫,農作物の発芽防止を目的として世界中で広く使用されている.しかし,日本では馬鈴薯の発芽防止を除いて食品への照射は禁止されている.放射線の照射によってDNA中のチミジン残基から生成する損傷ヌクレオシドである5,6-ジヒドロチミジン残基を指標として照射履歴の検知を試みた.8種類の植物性乾燥食品試料をガンマ線照射(3.2~8.3 kGy)した.試料からDNAを抽出後,DNAを3種類の酵素でヌクレオシドに分解して試験液を調製した.LC-MS/MSを用いて試験液中のチミジンに対する5,6-ジヒドロチミジンの濃度比を測定し,これを検知指標とした.その値は照射した線量に依存的であった.冷凍保存条件下で試料中のチミジン残基に対する5,6-ジヒドロチミジン残基の比率は,照射後少なくとも890日間は安定であった.8種類の植物性乾燥食品試料の照射履歴を検知できた.
Bibliography:950217
ZZ00009680
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.64.206