医療関係者から提供された健康食品の有害事象の特徴およびその因果関係評価アルゴリズムへの適用

医療関係者から提供された健康食品の有害事象の特徴を整理するとともに,各事象を因果関係評価アルゴリズムに適用した際の評価上の問題点の有無を検討した.東京都の医師会と薬剤師会で収集された290人分のデータを利用し,因果関係評価アルゴリズムは既報の方法を用いた.有害事象は,女性が73%を占め,男女とも60代から70代で,基礎疾患があり,病状等の改善目的の利用者が多く,症状としては皮膚症状が最も多かった.利用製品は天然物を原材料とするものが多く,製品中の原材料数は平均7.7,利用期間は1カ月以内が半数以上であった.大部分の症状は軽微から軽度で製品の摂取中止あるいは投薬治療により改善していた.各事象を因...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 64; no. 1; pp. 13 - 20
Main Authors 梅垣, 敬三, 山田, 浩, 中村, 洸友
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.02.2023
日本食品衛生学会
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.64.13

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Summary:医療関係者から提供された健康食品の有害事象の特徴を整理するとともに,各事象を因果関係評価アルゴリズムに適用した際の評価上の問題点の有無を検討した.東京都の医師会と薬剤師会で収集された290人分のデータを利用し,因果関係評価アルゴリズムは既報の方法を用いた.有害事象は,女性が73%を占め,男女とも60代から70代で,基礎疾患があり,病状等の改善目的の利用者が多く,症状としては皮膚症状が最も多かった.利用製品は天然物を原材料とするものが多く,製品中の原材料数は平均7.7,利用期間は1カ月以内が半数以上であった.大部分の症状は軽微から軽度で製品の摂取中止あるいは投薬治療により改善していた.各事象を因果関係評価アルゴリズムに適用したところ,2カ所の判断において情報の解釈に留意する必要があった.それらは,摂取中止のみで症状が自然治癒した場合は製品摂取と症状の因果関係が強いと判断できるが,摂取中止と同時に投薬治療をうけて症状が改善した場合は必ずしも製品に関連していると判断できないこと,また,患者を診察した医師の判断を客観的証拠とすることである.アルゴリズムによる事象全体の評価結果はhighly possibleが62%,possibleが30%であった.因果関係評価結果は,製品や原材料と症状の関係を示すもので,これに症状の重篤度の情報を加味することで注目すべき現象を明確にできることが期待される.
Bibliography:ZZ00009680
945925
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.64.13