天然由来の果実および果実加工品中安息香酸の含有量調査と分析法の比較

保存料として使用されている安息香酸(BA)は天然にも存在するため,行政検体の保存料検査において,添加されたものとの判別が必要になる.一方で,近年,多様な果実類およびその加工品が出回っており,それらに含有される天然のBAのデータが不足している.そこで,天然由来のBA含有量を把握するため,これまでに報告事例のないものも含め,検出事例の多い果実加工品とその原料にあたる生鮮果実100試料について,水蒸気蒸留法(蒸留法)および透析法による調査を行った.蒸留法では2.2~1,950 μg/g,透析法では,2.1~1,380 μg/gのBAを検出した.透析法と蒸留法の測定値を比較したところ,多くの試料で蒸留...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 64; no. 2; pp. 94 - 99
Main Authors 岩越, 景子, 山嶋, 裕季子, 中村, 理奈, 大塚, 健治, 馬場, 糸子, 坂牧, 成恵, 小林, 千種, 塩澤, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.04.2023
日本食品衛生学会
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.64.94

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Summary:保存料として使用されている安息香酸(BA)は天然にも存在するため,行政検体の保存料検査において,添加されたものとの判別が必要になる.一方で,近年,多様な果実類およびその加工品が出回っており,それらに含有される天然のBAのデータが不足している.そこで,天然由来のBA含有量を把握するため,これまでに報告事例のないものも含め,検出事例の多い果実加工品とその原料にあたる生鮮果実100試料について,水蒸気蒸留法(蒸留法)および透析法による調査を行った.蒸留法では2.2~1,950 μg/g,透析法では,2.1~1,380 μg/gのBAを検出した.透析法と蒸留法の測定値を比較したところ,多くの試料で蒸留法の測定値の方が高かった.本調査結果は,保存料検査において,BA添加の有無を判別するための参考データとして行政上活用されることが期待できる.
Bibliography:947039
ZZ00009680
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.64.94