ダンボール箱を介した農産物への残留農薬の移行

農産物の流通過程において再利用されるダンボール箱に,農産物に残留した農薬の移行が認められた.このダンボール箱を介して農薬が他の農産物へ移行する可能性を調査するため,モデル実験を行った.かんきつ類の箱に野菜を入れた場合を想定し,こすり付けるなどの過酷な条件下,表面ふき取りによる測定で検討を加えたところ,検討した3農薬の平均値は,グレープフルーツで添加量の6.2%,みかんで 0.57% がほうれんそうに移行したと算出された.今回の結果は,最大に移行した場合に相当すると考えられ,実際の農薬移行量は,より低いと思われるが,農薬がダンボール箱を介して他の農産物に移行する可能性は否定できない.流通過程で非...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 50; no. 5; pp. 223 - 229
Main Authors 富澤, 早苗, 岩越, 景子, 田村, 康宏, 小林, 麻紀, 大塚, 健治, 影山, 百合子, 永山, 敏廣, 高野, 伊知郎, 上條, 恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 2009
日本食品衛生学会
Subjects
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.50.223

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Summary:農産物の流通過程において再利用されるダンボール箱に,農産物に残留した農薬の移行が認められた.このダンボール箱を介して農薬が他の農産物へ移行する可能性を調査するため,モデル実験を行った.かんきつ類の箱に野菜を入れた場合を想定し,こすり付けるなどの過酷な条件下,表面ふき取りによる測定で検討を加えたところ,検討した3農薬の平均値は,グレープフルーツで添加量の6.2%,みかんで 0.57% がほうれんそうに移行したと算出された.今回の結果は,最大に移行した場合に相当すると考えられ,実際の農薬移行量は,より低いと思われるが,農薬がダンボール箱を介して他の農産物に移行する可能性は否定できない.流通過程で非意図的に農薬の移染が起こることが示唆され,このような農薬移染を防止する対策が必要である.
Bibliography:ZZ00009680
781957
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.50.223