うっ血性心不全の症状を呈した乳牛の2例

うっ血性心不全の症状を呈した乳牛2例の臨床および病理学的所見について報告した。症例1は2歳のホルスタイン種乳牛であり、食欲廃絶、胸垂の皮下浮腫、頚静脈の両側性怒張などを呈した。心電図検査では、QRS群の著しい低電位が認められた。心臓の超音波検査では、左右心房および心室腔の拡張と左室内径短縮率の低下が認められ、臨床的に拡張型心筋症と診断された。剖検では、左右両心室腔の著明な拡張と心室壁の菲薄化が認められ、組織学的に心筋細胞の肥大と空胞変性ならびに間質性心筋線維化が観察されたことから、拡張型心筋症と確定診断された。症例2は3歳のホルスタイン種乳牛であり、食欲廃絶、胸垂の皮下浮腫、頚静脈の両側性怒張...

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Published inJapanese Journal of Veterinary Clinics Vol. 31; no. 3; pp. 148 - 153
Main Authors 古岡, 秀文, 大星, 健治, 久保田, 学, 羽田, 真悟, 大越, なつき, 江原, 和則, 山岸, 則夫, 古林, 与志安, 宮原, 和郎, 小岩, 政照
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会 2008
日本家畜臨床学会
Subjects
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ISSN1346-8464
1883-4604
DOI10.4190/jjvc.31.148

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Summary:うっ血性心不全の症状を呈した乳牛2例の臨床および病理学的所見について報告した。症例1は2歳のホルスタイン種乳牛であり、食欲廃絶、胸垂の皮下浮腫、頚静脈の両側性怒張などを呈した。心電図検査では、QRS群の著しい低電位が認められた。心臓の超音波検査では、左右心房および心室腔の拡張と左室内径短縮率の低下が認められ、臨床的に拡張型心筋症と診断された。剖検では、左右両心室腔の著明な拡張と心室壁の菲薄化が認められ、組織学的に心筋細胞の肥大と空胞変性ならびに間質性心筋線維化が観察されたことから、拡張型心筋症と確定診断された。症例2は3歳のホルスタイン種乳牛であり、食欲廃絶、胸垂の皮下浮腫、頚静脈の両側性怒張などを呈した。心臓の超音波検査では、左心室腔と大動脈弁口の著しい拡張、心膜液貯留に伴う右心室の拡張不全、大動脈弁・弁尖の接合の欠落が認められた。病理学的検査において、左心室腔ならびに大動脈弁口の著しい拡張、大動脈弁・弁尖の肥厚(粘液腫様変性) が認められた。以上より、本例は、大動脈弁閉鎖不全症と診断された。
Bibliography:ZZ20020638
771426
ISSN:1346-8464
1883-4604
DOI:10.4190/jjvc.31.148