染色体断片置換系統群を利用したイネの玄米外観品質に関与するQTLの検出

玄米外観品質(外観品質)は,収量および食味とならび育種における重要な形質の一つであるが,関与する遺伝子やその作用など,その遺伝様式については研究が進んでいない.本研究では,外観品質に影響をおよぼす遺伝子を探索するために,コシヒカリを遺伝的背景にもつインド型品種Kasalathの染色体断片置換系統群(CSSLs: chromosome segment substitution lines)を利用した外観品質に関するQTL解析を行った.その結果,Kasalathの対立遺伝子がコシヒカリに対して,整粒比率を増加(外観品質を良くする)させるQTLを第2,第9,第11および第12染色体の4箇所に見出した...

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Published inIkushugaku kenkyu Vol. 10; no. 3; pp. 91 - 99
Main Authors 舟根, 政治, 山本, 良孝, 蛯谷, 武志, 矢野, 昌裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本育種学会 2008
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ISSN1344-7629
1348-1290
DOI10.1270/jsbbr.10.91

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Summary:玄米外観品質(外観品質)は,収量および食味とならび育種における重要な形質の一つであるが,関与する遺伝子やその作用など,その遺伝様式については研究が進んでいない.本研究では,外観品質に影響をおよぼす遺伝子を探索するために,コシヒカリを遺伝的背景にもつインド型品種Kasalathの染色体断片置換系統群(CSSLs: chromosome segment substitution lines)を利用した外観品質に関するQTL解析を行った.その結果,Kasalathの対立遺伝子がコシヒカリに対して,整粒比率を増加(外観品質を良くする)させるQTLを第2,第9,第11および第12染色体の4箇所に見出した.さらに,外観品質を低下させる因子として,背基白粒を増加させるQTLを第2,第5,第6,第8および第10染色体の5箇所に,乳白粒を増加させるQTLを第1,第7染色体の2箇所に,腹白粒を増加させるQTLを第1染色体の1箇所に,それぞれ検出した.それらQTLのうち,整粒を増加させる第2および第12染色体,背基白粒を増加させる第5染色体,腹白粒を増加させる第1染色体のそれぞれのQTLについては,QTLを含む染色体領域が分離する集団を作出して,検出したQTLの存在を確認した.以上の結果から,染色体の一部のみの他品種由来断片への置換によって外観品質に関する変異の創出が可能であることを実証した.
Bibliography:ZZ00015503
761810
ISSN:1344-7629
1348-1290
DOI:10.1270/jsbbr.10.91