ストリゴラクトンの立体と構造の多様性

「はじめに」 ストリゴラクトン(strigolactone, SL)は, 分げつ抑制や根の発達などの形態変化をリン欠乏時に誘導する植物ホルモンである. また, 根圏のシグナル分子としても作用するSLは, 根から植物体外に分泌され, リンなどの無機養分の吸収を促進するアーバスキュラー菌根(AM)菌との共生関係の成立を高める. これらの作用は2000年以降明らかにされたが, それ以前はハマウツボ科植物のストライガ(Striga)属およびオロバンキ(Orobanche)属に代表される根寄生雑草の種子発芽刺激物質として認識されていた. ハマウツボ科植物の種子は他の植物と異なり, 適切な温度と水分の条件...

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Published inNihon Nōyaku Gakkai shi (2013) Vol. 46; no. 2; pp. 136 - 142
Main Authors 上野, 琴巳, 滝川, 浩郷, 杉本, 幸裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 20.08.2021
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ISSN2187-0365
2187-8692
DOI10.1584/jpestics.W21-28

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Summary:「はじめに」 ストリゴラクトン(strigolactone, SL)は, 分げつ抑制や根の発達などの形態変化をリン欠乏時に誘導する植物ホルモンである. また, 根圏のシグナル分子としても作用するSLは, 根から植物体外に分泌され, リンなどの無機養分の吸収を促進するアーバスキュラー菌根(AM)菌との共生関係の成立を高める. これらの作用は2000年以降明らかにされたが, それ以前はハマウツボ科植物のストライガ(Striga)属およびオロバンキ(Orobanche)属に代表される根寄生雑草の種子発芽刺激物質として認識されていた. ハマウツボ科植物の種子は他の植物と異なり, 適切な温度と水分の条件下に置かれても発芽しない. 宿主となる植物から分泌された種子発芽刺激物質を感知すると発芽する. ハマウツボ科植物は光合成能がほとんどないため, 発芽後は幼根を伸長させて宿主の根と接したところで吸器を形成すると維管束を接合させ, 宿主植物が光合成によって得た養水分を収奪して成長する.
Bibliography:941903
ZZ20502360
ISSN:2187-0365
2187-8692
DOI:10.1584/jpestics.W21-28