社会性昆虫マルハナバチのリスク評価手法の確立

「はじめに」 送粉者は野生植物の繁殖だけでなく, 農作物の生産においても重要な役割を担っている. なかでもミツバチは, 紀元前から人々へ恩恵を与え続け, 19世紀半ごろに始まった近代養蜂により, 蜂蜜などのミツバチ産物だけでなく多くの農作物の受粉に貢献してきた. 送粉者の世界の農作物生産における経済的価値は2005年時点で約1530億ユーロと推定され, 野菜やフルーツ, ナッツ類の生産が送粉者に強く依存している. しかし近年, ハナバチ類の減少が世界的に注目されており, その要因として気候変動や農薬, 生息地の減少, 寄生生物など単独的, あるいはそれぞれの要素が複合的に関わっていると考えられ...

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Published inNihon Nōyaku Gakkai shi (2013) Vol. 46; no. 2; pp. 106 - 111
Main Authors 井上, 真紀, 加藤, 優斗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 20.08.2021
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ISSN2187-0365
2187-8692
DOI10.1584/jpestics.W21-40

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Summary:「はじめに」 送粉者は野生植物の繁殖だけでなく, 農作物の生産においても重要な役割を担っている. なかでもミツバチは, 紀元前から人々へ恩恵を与え続け, 19世紀半ごろに始まった近代養蜂により, 蜂蜜などのミツバチ産物だけでなく多くの農作物の受粉に貢献してきた. 送粉者の世界の農作物生産における経済的価値は2005年時点で約1530億ユーロと推定され, 野菜やフルーツ, ナッツ類の生産が送粉者に強く依存している. しかし近年, ハナバチ類の減少が世界的に注目されており, その要因として気候変動や農薬, 生息地の減少, 寄生生物など単独的, あるいはそれぞれの要素が複合的に関わっていると考えられてる. マルハナバチは一年生のコロニーサイクルをもつ真社会性昆虫である. 春に冬眠から目覚めた女王バチが単独で新しい巣を創設し, 夏頃までには数十から数百の働きバチを生産する.
Bibliography:941898
ZZ20502360
ISSN:2187-0365
2187-8692
DOI:10.1584/jpestics.W21-40