外科的切除を実施した犬のアポクリン汗腺癌5例の臨床および病理学的特徴
犬のアポクリン汗腺癌5症例の臨床および病理学的特徴を検討した。いずれも12歳以上の高齢犬に発生した単発腫瘍で、腫瘍細胞の表皮浸潤による潰瘍をともなっていた。全例で腺様構造、線維増生、間質浸潤がみられ、2例では硬癌の組織学的特徴も認められた。全例とも拡大切除によって局所制御はできたが、硬癌の特徴がみられた1例(前肢の指間腫瘍)は術後3ヶ月目に浅頸リンパ節転移が認められた。硬癌の別の1例(肘の固着腫瘍)には脈管浸潤があり、術後6ヶ月目に皮膚の転移巣が広がって死亡した。もっとも分裂指数が高かった1例(陰部横の腫瘍)は術後7ヶ月目に多臓器転移で死亡し、残りの2例は追跡中に転移は認められなかった。犬のア...
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Published in | 日本獣医麻酔外科学雑誌 Vol. 46; no. 3; pp. 43 - 47 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 2189-6623 2189-6631 |
DOI | 10.2327/jjvas.46.43 |
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Summary: | 犬のアポクリン汗腺癌5症例の臨床および病理学的特徴を検討した。いずれも12歳以上の高齢犬に発生した単発腫瘍で、腫瘍細胞の表皮浸潤による潰瘍をともなっていた。全例で腺様構造、線維増生、間質浸潤がみられ、2例では硬癌の組織学的特徴も認められた。全例とも拡大切除によって局所制御はできたが、硬癌の特徴がみられた1例(前肢の指間腫瘍)は術後3ヶ月目に浅頸リンパ節転移が認められた。硬癌の別の1例(肘の固着腫瘍)には脈管浸潤があり、術後6ヶ月目に皮膚の転移巣が広がって死亡した。もっとも分裂指数が高かった1例(陰部横の腫瘍)は術後7ヶ月目に多臓器転移で死亡し、残りの2例は追跡中に転移は認められなかった。犬のアポクリン汗腺癌では拡大切除が局所制御に有効であるが、組織学的に硬癌の浸潤像、高分裂指数、脈管浸潤がみられる例では転移する可能性を考慮すべきと思われた。 |
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ISSN: | 2189-6623 2189-6631 |
DOI: | 10.2327/jjvas.46.43 |