オフ・ストリーム型ため池による河川の栄養塩類流出抑制効果の実証および考察

大阪府岸和田市神於山地区に位置する傍示池およびその水源の轟川における事例調査の結果,河川から常時流入のないオフ・ストリーム型のため池であっても,通常の取水・配水操作を通じて,水源河川における栄養塩類負荷の流出抑制に寄与する例があることが実証的に示された.傍示池では,河川水中の栄養塩類(窒素およびリン)負荷量のうち,年間で全窒素では36%,溶存態窒素では42%,全リンでは52%,溶存態リンでは46%,懸濁態リンでは62%が削減されていた.ただし,懸濁態窒素については,ため池からの流出負荷量が流入を比較的大きく上回る時期があり,年間でみると若干ながら,ため池がむしろ汚濁側に作用していた.2007年...

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Published inNōgyō Nōson Kōgakkai ronbunshū Vol. 77; no. 4; pp. 363 - 368
Main Authors 中桐, 貴生, 堀野, 治彦, 松島, 隆治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 農業農村工学会 2009
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ISSN1882-2789
1884-7242
DOI10.11408/jsidre.77.363

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Summary:大阪府岸和田市神於山地区に位置する傍示池およびその水源の轟川における事例調査の結果,河川から常時流入のないオフ・ストリーム型のため池であっても,通常の取水・配水操作を通じて,水源河川における栄養塩類負荷の流出抑制に寄与する例があることが実証的に示された.傍示池では,河川水中の栄養塩類(窒素およびリン)負荷量のうち,年間で全窒素では36%,溶存態窒素では42%,全リンでは52%,溶存態リンでは46%,懸濁態リンでは62%が削減されていた.ただし,懸濁態窒素については,ため池からの流出負荷量が流入を比較的大きく上回る時期があり,年間でみると若干ながら,ため池がむしろ汚濁側に作用していた.2007年6月~12月に追加調査を行い,この結果も含めて検討したところ,懸濁態窒素増大の主因は,ため池内での植物プランクトンによる可能性が極めて高いと判断された.
Bibliography:ZZ20032779
780833
ISSN:1882-2789
1884-7242
DOI:10.11408/jsidre.77.363