雄性不稔スギ「爽春」の雄性不稔原因遺伝子を持つ個体を検出する簡易DNAマーカーの開発

本研究では,雄性不稔スギ「爽春」の雄性不稔形質の原因遺伝子座(ms-1)と強く連鎖する遺伝子座における不稔型および野生型個体の遺伝子型を容易に検出できる簡易DNAマーカーを開発した。既報のSNP情報を基に,アレル特異的プライマー(Allele Specific Primer: ASP)PCR法,およびCAPS法によるDNAマーカーを開発した。まずms-1に座乗するEST(reCj19250)について爽春,野生型精英樹クローン碓氷2号のcDNAおよびゲノムDNA配列を決定し,不稔型および野生型のSNPを検出するためのプライマーを設計した。ASP-PCRマーカーにおいて,不稔型のホモ接合体では15...

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Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 101; no. 4; pp. 155 - 162
Main Authors 三嶋, 賢太郎, 田村, 美帆, 渡辺, 敦史, 坪村, 美代子, 高橋, 誠, 郷田, 乃真人, 小長谷, 賢一, 平尾, 知士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本森林学会 01.08.2019
Subjects
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.101.155

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Summary:本研究では,雄性不稔スギ「爽春」の雄性不稔形質の原因遺伝子座(ms-1)と強く連鎖する遺伝子座における不稔型および野生型個体の遺伝子型を容易に検出できる簡易DNAマーカーを開発した。既報のSNP情報を基に,アレル特異的プライマー(Allele Specific Primer: ASP)PCR法,およびCAPS法によるDNAマーカーを開発した。まずms-1に座乗するEST(reCj19250)について爽春,野生型精英樹クローン碓氷2号のcDNAおよびゲノムDNA配列を決定し,不稔型および野生型のSNPを検出するためのプライマーを設計した。ASP-PCRマーカーにおいて,不稔型のホモ接合体では157 bp,野生型のホモ接合体では345 bpのバンドが検出され,ヘテロ接合体では両バンドが検出された。CAPSマーカーにおいて,不稔個体では制限酵素で切断された101 bp,野生型個体では125 bpのバンドが検出され,ヘテロ接合体では両方のバンドが検出された。これらのマーカーは雄性不稔スギの苗木生産現場における不稔個体の検出や,今後の林木育種のためのヘテロ型精英樹等の探索に利用できると考えられた。
Bibliography:930039
ZZ20018854
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.101.155