用土の理学的性質がスギのさし木発根性に及ぼす影響

スギのさし木発根性に関する高精度の形質データの取得に向け,発根性に影響する環境要因の一つである用土の検討を行った。ミスト灌水条件で12種類の用土に精英樹3クローンをさし木し,用土の理学的性質と発根率およびさし木苗の根長との関係を分析した。まず用土の理学的性質の主成分分析により,透水性および保水性という2軸によって用土を分類できることを明らかにした。これらの用土間で発根率および根長の差が認められた。さらに,用土の透水性と保水性を示す性質を説明変数としてDIC (偏差情報量基準) 値によるモデル選択を行った結果,気相と液相の比およびその二次項を説明変数としたモデルが最適モデルとして採択された。この...

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Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 98; no. 6; pp. 265 - 272
Main Authors 大平, 峰子, 平岡, 裕一郎, 栗田, 学, 渡辺, 敦史, 三浦, 真弘, 花岡, 創, 井城, 泰一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本森林学会 01.12.2016
Subjects
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.98.265

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Summary:スギのさし木発根性に関する高精度の形質データの取得に向け,発根性に影響する環境要因の一つである用土の検討を行った。ミスト灌水条件で12種類の用土に精英樹3クローンをさし木し,用土の理学的性質と発根率およびさし木苗の根長との関係を分析した。まず用土の理学的性質の主成分分析により,透水性および保水性という2軸によって用土を分類できることを明らかにした。これらの用土間で発根率および根長の差が認められた。さらに,用土の透水性と保水性を示す性質を説明変数としてDIC (偏差情報量基準) 値によるモデル選択を行った結果,気相と液相の比およびその二次項を説明変数としたモデルが最適モデルとして採択された。このモデルによって気相と液相の比が約1.0で発根率が最大となる負の二次曲線状の関係が予測され,気相と液相の比が発根率の変動を把握するための指標となることが示唆された。発根率の最適条件に該当するのが鹿沼土小粒およびココナツハスクであり,ココナツハスクより鹿沼土小粒で根長が大きかったことから,鹿沼土小粒がスギのさし木増殖ならびにさし木苗の根系形質評価に最適な用土であると考えられた。
Bibliography:ZZ20018854
910285
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.98.265