パン用コムギ品種「せときらら」における茎数を指標とした生育診断に基づく可変施肥法の検証
生育診断とそれに基づく窒素の可変施肥は,コムギの高品質多収栽培に有効であるが,診断時期の生育量や診断指標,窒素の追肥量や施肥時期,収量や子実タンパク質含有率との関係についての知見は少ない.本研究では,穂肥重点施肥をベースに可変施肥を行うには,茎数の管理がとくに重要であると考え,少播種量区を設けることによって人為的にm2あたり茎数不足となった群落を作り,分げつ期の窒素追肥量を増やすことによって収量の減少を軽減できるかどうかを検証した.少播種量区は,苗立ち数が約80本 m–2と標準播種量区の約120本 m–2に比べて有意に少なかった.4葉期でも少播種量区は茎数が少なかったが,茎立ち開始期には分げつ...
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          | Published in | Japanese journal of crop science Vol. 89; no. 4; pp. 299 - 306 | 
|---|---|
| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本作物学会
    
        05.10.2020
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0011-1848 1349-0990  | 
| DOI | 10.1626/jcs.89.299 | 
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| Summary: | 生育診断とそれに基づく窒素の可変施肥は,コムギの高品質多収栽培に有効であるが,診断時期の生育量や診断指標,窒素の追肥量や施肥時期,収量や子実タンパク質含有率との関係についての知見は少ない.本研究では,穂肥重点施肥をベースに可変施肥を行うには,茎数の管理がとくに重要であると考え,少播種量区を設けることによって人為的にm2あたり茎数不足となった群落を作り,分げつ期の窒素追肥量を増やすことによって収量の減少を軽減できるかどうかを検証した.少播種量区は,苗立ち数が約80本 m–2と標準播種量区の約120本 m–2に比べて有意に少なかった.4葉期でも少播種量区は茎数が少なかったが,茎立ち開始期には分げつ肥を施用しなかった0–0–6–5区でも茎数400本 m–2以上となった.基肥を施用しない穂肥重点施肥体系で栽培した少播種量区では,茎の有効化率が85%以上と高く,成熟期の穂数および収量がそれぞれ約400本 m–2および約700 g m–2と,標準播種量区並みとなった.異なった栽培条件や品種でも検証する必要があるが,穂肥重点施肥では分げつ期に茎数を計り,それに応じて追肥量を決定する意義は薄く,むしろ苗立ち数80本 m–2以上を確実に確保することが重要であると考えられた. | 
|---|---|
| Bibliography: | 936302 ZZ00014890  | 
| ISSN: | 0011-1848 1349-0990  | 
| DOI: | 10.1626/jcs.89.299 |