窒素追肥の時期と量がデュラムコムギ品種 「セトデュール」の収量や品質に及ぼす影響
デュラムコムギ品種 「セトデュール」は, 日本で初めて育成されたデュラムコムギ品種である.デュラムコムギは優れた加工適性のためにパン用コムギと同様に高い子実タンパク質含有率が重要であり,「セトデュール」の栽培においても子実タンパク質含有率を高めるための栽培方法が必要である.そこで,2016/2017年と2017/2018年の2作期に,止葉展開期以降に窒素追肥時期を変えた試験1 ,開花期に窒素追肥量を変えた試験2,分げつ肥を施用せず,穂肥と止葉展開期に増量追肥した試験3を行い,収量や子実タンパク質含有率等の品質への影響を調査した.試験1では窒素追肥時期を止葉展開期,出穂期または開花期にした場合,...
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Published in | Japanese journal of crop science Vol. 89; no. 3; pp. 203 - 210 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本作物学会
05.07.2020
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Subjects | |
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ISSN | 0011-1848 1349-0990 |
DOI | 10.1626/jcs.89.203 |
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Summary: | デュラムコムギ品種 「セトデュール」は, 日本で初めて育成されたデュラムコムギ品種である.デュラムコムギは優れた加工適性のためにパン用コムギと同様に高い子実タンパク質含有率が重要であり,「セトデュール」の栽培においても子実タンパク質含有率を高めるための栽培方法が必要である.そこで,2016/2017年と2017/2018年の2作期に,止葉展開期以降に窒素追肥時期を変えた試験1 ,開花期に窒素追肥量を変えた試験2,分げつ肥を施用せず,穂肥と止葉展開期に増量追肥した試験3を行い,収量や子実タンパク質含有率等の品質への影響を調査した.試験1では窒素追肥時期を止葉展開期,出穂期または開花期にした場合,収量は有意な差はなかったが,子実タンパク質含有率は開花期の施用で止葉展開期より有意に高かった.試験2では収量は開花期の窒素追肥量による有意な差はなかったが,窒素追肥量が増えると子実タンパク質含有率は有意に増加し,窒素追肥1 g m–2あたり約0.4ポイント増加した.試験3では慣行分施に対して収量は穂肥の増量により有意に増加した.また,慣行分施に対して穂肥と止葉展開期の両方を増量すると収量と子実タンパク質含有率の両方が増加した.これらの収穫物を用いて加工適性試験を行うと,開花期の窒素追肥0 g m–2で子実タンパク質含有率が10%未満の 「セトデュール」では製粉時にセモリナ生成率の低下やセモリナ粉砕率の増加など製粉への影響がみられたほか,スパゲッティの官能試験で食感が明らかに低下した. |
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Bibliography: | 935053 ZZ00014890 |
ISSN: | 0011-1848 1349-0990 |
DOI: | 10.1626/jcs.89.203 |