西部瀬戸内海に生息するタチウオ Trichiurus japonicus の食性および炭素源の空間的変化

瀬戸内海西部に生息するタチウオ Trichiurus japonicus の餌資源特性を明らかにするため環境特性の異なる4海域から試料を集め,安定同位体比分析と胃内容分析によって T. japonicus の食性を海域間で比較した。その結果,T. japonicus の食性は海域間で異なっていたが,これは胃内容物の時空間的なばらつきによる影響と考えられた。また,安定同位体比に基づく栄養段階と胃内容から推測される栄養ニッチは一致していなかった。そのため,胃内容物による魚類の食性解析にはより多くの採集努力が必要と考えられた。一方で,胃内容分析では検出できなかった海域間での栄養炭素経路の違いを安定同...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 62; no. 3; pp. 243 - 251
Main Authors 宮崎, 寛史, 赤松, 大雅, 大森, 浩二, 浜岡, 秀樹, 柴田, 淳也, 南口, 哲也
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水産増殖学会 2014
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ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci.62.243

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Summary:瀬戸内海西部に生息するタチウオ Trichiurus japonicus の餌資源特性を明らかにするため環境特性の異なる4海域から試料を集め,安定同位体比分析と胃内容分析によって T. japonicus の食性を海域間で比較した。その結果,T. japonicus の食性は海域間で異なっていたが,これは胃内容物の時空間的なばらつきによる影響と考えられた。また,安定同位体比に基づく栄養段階と胃内容から推測される栄養ニッチは一致していなかった。そのため,胃内容物による魚類の食性解析にはより多くの採集努力が必要と考えられた。一方で,胃内容分析では検出できなかった海域間での栄養炭素経路の違いを安定同位体比分析では検出することができた。この結果は西部瀬戸内海における基礎生産構造に関する先行研究と一致しており,安定同位体比分析はより少ない採集努力で魚類の食性を効率的に理解することができる手法であると考えられた。
Bibliography:ZZ00008678
873582
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.62.243