乳牛の分娩後早期におけるエストラジオール処置による卵巣機能回復促進効果

分娩後最初に出現する主席卵胞が成熟する時期である分娩後14~18日に安息香酸エストラジオール(EB)6mg を投与し,分娩後早期の卵巣機能回復及びその後の繁殖性の改善について検証した.正常分娩したホルスタイン種成熟雌牛314頭を無作為に2群に分け,試験区164頭にEB 6mg を筋肉内注射で投与し,対照区150頭は無処置とした.これらの一部について,直検及び血中プロジェステロン濃度を測定した結果,EB投与2日後に排卵し7日後に黄体化したものは86.0%であり,対照区の38.9%より有意に高率であった.さらに,分娩後60日以内の授精率は試験区で68.9%と,対照区の47.3%より高かった.初回授...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 64; no. 11; pp. 865 - 869
Main Authors 山口, 佳男, 白砂, 孔明, 川島, 千帆, 宮本, 明夫, 下田, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.11.2011
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.64.865

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Summary:分娩後最初に出現する主席卵胞が成熟する時期である分娩後14~18日に安息香酸エストラジオール(EB)6mg を投与し,分娩後早期の卵巣機能回復及びその後の繁殖性の改善について検証した.正常分娩したホルスタイン種成熟雌牛314頭を無作為に2群に分け,試験区164頭にEB 6mg を筋肉内注射で投与し,対照区150頭は無処置とした.これらの一部について,直検及び血中プロジェステロン濃度を測定した結果,EB投与2日後に排卵し7日後に黄体化したものは86.0%であり,対照区の38.9%より有意に高率であった.さらに,分娩後60日以内の授精率は試験区で68.9%と,対照区の47.3%より高かった.初回授精受胎率は試験区51.9%,対照区43.8%だった.また100日以内の受胎率は試験区50.3%,対照区45.9%で受胎率には有意な差はなかった.しかし,100日以上無発情の牛は試験区で11.9%で,対照区の24.3%より有意に低減された.以上から,分娩後早期のEB投与による卵巣機能の回復促進及び無発情牛の低減効果が示された.
Bibliography:ZZ00014801
815021
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.64.865