トラネキサム酸による催吐処置後に重篤な有害事象を生じた犬2例並びに催吐処置アンケート調査

トラネキサム酸(以下,「TXA」)は,本邦では安全性の高い催吐薬と認識されており,犬の催吐薬として多く用いられている.しかし,TXAを用いた催吐処置後に重篤な有害事象を呈した2例を経験した.1例は投与数日後にショック状態となり死亡し,病理組織学的検査により肺動脈血栓,肝臓のび漫性うっ血及び腎臓にアミロイド沈着が認められた.他の1例は,TXA投与後にてんかん重積状態を発症したが,数日間の抗てんかん薬の投与にて改善した.そこで,TXAによる催吐処置後の有害事象発生状況を把握する目的で,臨床獣医師にアンケート調査を実施した.その結果,15%の獣医師が有害事象を経験していた.最も多い有害事象は痙攣であ...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 74; no. 8; pp. 503 - 507
Main Authors 入江, 充洋, 鵤, 満, 内田, 和幸, 栗谷川, 優子, チェンバーズ, ジェームズ, 伊藤, 良一, 藤木, 範之, 三好, 拓馬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.08.2021
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.74.503

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Summary:トラネキサム酸(以下,「TXA」)は,本邦では安全性の高い催吐薬と認識されており,犬の催吐薬として多く用いられている.しかし,TXAを用いた催吐処置後に重篤な有害事象を呈した2例を経験した.1例は投与数日後にショック状態となり死亡し,病理組織学的検査により肺動脈血栓,肝臓のび漫性うっ血及び腎臓にアミロイド沈着が認められた.他の1例は,TXA投与後にてんかん重積状態を発症したが,数日間の抗てんかん薬の投与にて改善した.そこで,TXAによる催吐処置後の有害事象発生状況を把握する目的で,臨床獣医師にアンケート調査を実施した.その結果,15%の獣医師が有害事象を経験していた.最も多い有害事象は痙攣であった.
Bibliography:ZZ00014801
938578
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.74.503