下痢の子豚にみられた回腸粘膜上皮細胞に付着するセグメント細菌

下痢及び発育不良が認められた40日齢離乳豚3頭について,病性鑑定を実施した.肉眼的に,回腸粘膜が肥厚し,パイエル板も腫大し,明瞭に認められた.組織学的には,回腸粘膜パイエル板における多数のリンパ小節形成及び同部位の粘膜絨毛の萎縮が認められた.さらに回腸粘膜上皮細胞には多数のフィラメント状細菌の付着が認められた.この細菌は,数珠状を呈し,グラム染色には陽性または陰性を示した.電顕的には,同細菌はセグメント細菌(Segmented filamentous bacteria : SFB)の形態的特徴を示した.検索した3頭とも回腸には本菌の存在以外に,下痢に関係すると考えられる要因は検出されなかった....

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 68; no. 2; pp. 107 - 111
Main Authors 芝原, 友幸, 小林, 勝, 矢口, 裕司, 小林, 秀樹, 楠原, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.02.2015
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.68.107

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Summary:下痢及び発育不良が認められた40日齢離乳豚3頭について,病性鑑定を実施した.肉眼的に,回腸粘膜が肥厚し,パイエル板も腫大し,明瞭に認められた.組織学的には,回腸粘膜パイエル板における多数のリンパ小節形成及び同部位の粘膜絨毛の萎縮が認められた.さらに回腸粘膜上皮細胞には多数のフィラメント状細菌の付着が認められた.この細菌は,数珠状を呈し,グラム染色には陽性または陰性を示した.電顕的には,同細菌はセグメント細菌(Segmented filamentous bacteria : SFB)の形態的特徴を示した.検索した3頭とも回腸には本菌の存在以外に,下痢に関係すると考えられる要因は検出されなかった.以上のことから,豚の回腸においてSFB重度感染により,下痢が誘発される可能性が示唆された.
Bibliography:ZZ00014801
891216
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.68.107