モモ果実のスクロース蓄積におけるスクロース合成酵素と他のスクロース関連酵素の役割

成熟期と糖組成の異なるモモの糖含量とスクロース代謝関連酵素活性の季節変動を調べた.'あかつき'(早~中生品種)と'ゆうぞら'(晩生品種) はグルコースとほぼ同量のフルクトースを含んでいたが,'長野野生桃早生'(中生品種)と'ほうきもも'(晩生品種)はフルクトース含量が少なかった.いずれの品種も成熟期にはスクロースが主たる糖であった.果梗中には転流型糖であるソルビトールが多く含まれていたが,他の糖もかなりの量で存在していた.成熟期や糖組成の差異にかかわらず,すべてのモモで,スクロースの蓄積に伴いスクロース合成酵素活性...

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Published inEngei Gakkai zasshi Vol. 60; no. 3; pp. 531 - 538
Main Authors 石沢, ゆり, 森口, 卓哉, 寺本, さゆり, 真田, 哲朗, 山木, 昭平
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 園芸学会 1991
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ISSN0013-7626
1880-358X
DOI10.2503/jjshs.60.531

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Summary:成熟期と糖組成の異なるモモの糖含量とスクロース代謝関連酵素活性の季節変動を調べた.'あかつき'(早~中生品種)と'ゆうぞら'(晩生品種) はグルコースとほぼ同量のフルクトースを含んでいたが,'長野野生桃早生'(中生品種)と'ほうきもも'(晩生品種)はフルクトース含量が少なかった.いずれの品種も成熟期にはスクロースが主たる糖であった.果梗中には転流型糖であるソルビトールが多く含まれていたが,他の糖もかなりの量で存在していた.成熟期や糖組成の差異にかかわらず,すべてのモモで,スクロースの蓄積に伴いスクロース合成酵素活性が上昇したが,スクロース-6-リン酸合成酵素活性はスクロース蓄積期にも低いレベルで推移した.酸性インベルターゼ活性はすべての品種において果実の成熟に伴い減少した.ウリジン-5'-ジホスフォーグルコースピロホスホリラーゼ活性は果実の生育に伴い減少し,'長野野生桃早生'以外の品種においては成熟期にわずかに上昇したものの,活性の季節変動に大きな差は認められなかった.以上の結果より,モモ果実のスクロースの合成と蓄積にはスクロース合成酵素が重要な役割を果たしていることが推察された. さらに,モモ未熟果よりスクロース合成酵素の部分精製を行い,酵素の化学的性質とスクロース代謝関連酵素活性の季節変動から,モモおよび他の果実や果菜類でのスクロース蓄積特性を論議した.
Bibliography:ZZ00015006
472103
ISSN:0013-7626
1880-358X
DOI:10.2503/jjshs.60.531