黒毛和種牛における内因系血液凝固異常と胎子死の関連性

黒毛和種繁殖牛において,XI因子欠乏症を含む内因系血液凝固異常と原因不明の流死産(いわゆる胎子死)の関連性について調査した.繁殖牛群129 頭を調査したところ,XI因子欠乏症の既知変異遺伝子の遺伝子頻度は26.4%であった.変異アレルのホモ接合個体(変異ホモ)群とヘテロ接合個体(ヘテロ)群,変異アレルを持たない正常ホモ接合個体(正常ホモ)群間で,プロトロンビン時間(PT)に有意差はなく,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)では,変異ホモ群,ヘテロ群,正常ホモ群の順に有意に延長していた.各群間の胎子死頻度比較は,変異ホモ群がヘテロ群,正常ホモ群に対して有意に高く,正常ホモ群と変異ホモ群の...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 67; no. 1; pp. 54 - 58
Main Authors 森友, 靖生, 斯琴, 図雅, 国枝, 哲夫, 大場, 恵典, 北川, 均, 緒方, 良彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 01.01.2014
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.67.54

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Summary:黒毛和種繁殖牛において,XI因子欠乏症を含む内因系血液凝固異常と原因不明の流死産(いわゆる胎子死)の関連性について調査した.繁殖牛群129 頭を調査したところ,XI因子欠乏症の既知変異遺伝子の遺伝子頻度は26.4%であった.変異アレルのホモ接合個体(変異ホモ)群とヘテロ接合個体(ヘテロ)群,変異アレルを持たない正常ホモ接合個体(正常ホモ)群間で,プロトロンビン時間(PT)に有意差はなく,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)では,変異ホモ群,ヘテロ群,正常ホモ群の順に有意に延長していた.各群間の胎子死頻度比較は,変異ホモ群がヘテロ群,正常ホモ群に対して有意に高く,正常ホモ群と変異ホモ群の胎子死頻度のオッズ比は2.72(95%信頼区間:1.08~6.84)であった.XI因子以外の内因系因子と胎子死の関連を調査する目的で,正常ホモ群71頭をAPTTの中央値から20秒以上延長している個体(延長)群と非延長群の2群に分け,PT及び胎子死頻度を比較した.2群間でAPTTには有意差が存在するがPTに有意差はなく,胎子死頻度で有意な差があった.延長群と非延長群との胎子死頻度のオッズ比は3.49(95%信頼区間:1.29~9.40)であった.また,非延長群と変異ホモ群との胎子死頻度のオッズ比は3.77(95%信頼区間:1.39~10.18)であった.これらの結果は,XI因子欠乏症を含む内因系血液凝固因子異常が胎子死の発生に関連している可能性を示した.
Bibliography:ZZ00014801
871110
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.67.54