魚類肝臓におけるシステインからの酵素反応的な硫化水素の産生

ブルーギルの肝臓ホモジネートを用いて,l-システイン(Cys)からの酵素反応的な硫化水素(H2S)の産生について調べた。H2S 量は,酵素反応により産生された H2S を ZnS の化学形で補足し,これに N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンを加え,生成するメチレンブルー濃度を吸光度測定して求めた。 H2S の産生は,Cys 濃度,タンパク質量,および反応時間の増加とともに上昇し,pH が6.0-9.0の広い範囲で見られ,そして反応温度が45℃のときに最大となった。また H2S の産生は,ピリドキサール 5'-リン酸(PLP)の添加により増加し,PLP 依存性酵素の阻害剤であるヒ...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 72; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 後藤, 孝信, 阿形, 明音, 田林, 俊祐, 大庭, 瑶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産増殖学会 2024
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ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci.72.1

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Summary:ブルーギルの肝臓ホモジネートを用いて,l-システイン(Cys)からの酵素反応的な硫化水素(H2S)の産生について調べた。H2S 量は,酵素反応により産生された H2S を ZnS の化学形で補足し,これに N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンを加え,生成するメチレンブルー濃度を吸光度測定して求めた。 H2S の産生は,Cys 濃度,タンパク質量,および反応時間の増加とともに上昇し,pH が6.0-9.0の広い範囲で見られ,そして反応温度が45℃のときに最大となった。また H2S の産生は,ピリドキサール 5'-リン酸(PLP)の添加により増加し,PLP 依存性酵素の阻害剤であるヒドロキシルアミンにより著しく減少した。コイおよびニジマスについても H2S の産生を調べたところ,ブルーギルの値が最も高いものの,何れの魚種においても H2S の産生が確認された。 以上の結果より,哺乳類と同様,魚類にも PLP 依存性酵素による Cys からの H2S 産生経路が存在すると考えられた。
Bibliography:ZZ00008678
951463
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.72.1