内蒙古草原の乾燥度区分
中国内蒙古の草原衰退に関し,温暖化による気温上昇が成育草本種の交代を起こした可能性が高いので,乾燥度区分図を年代別に描き各区分地の移動と草本種の交代の関係を把握したい。本報告はその方法を確立するもので,まず345地点の1961〜1990年の月別平均気温と降水量の平年値を用い,Thornthwaite(1948)の式から求めた年蒸発散能で年降水量を除して降水蒸発散能比(P/PETt)を求め,ユーラシア大陸規模の乾燥度区分図を描いた。Thornthwaite式は,多数要因から蒸発散能を求めるPenman(1948)の式より理論的に劣るものの,データが限られる地域における気候からの植生区分において,...
        Saved in:
      
    
          | Published in | Japanese Journal of Forest Environment Vol. 46; no. 2; pp. 103 - 109 | 
|---|---|
| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            森林立地学会
    
        01.12.2004
     | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0388-8673 2189-6275  | 
| DOI | 10.18922/jjfe.46.2_103 | 
Cover
| Summary: | 中国内蒙古の草原衰退に関し,温暖化による気温上昇が成育草本種の交代を起こした可能性が高いので,乾燥度区分図を年代別に描き各区分地の移動と草本種の交代の関係を把握したい。本報告はその方法を確立するもので,まず345地点の1961〜1990年の月別平均気温と降水量の平年値を用い,Thornthwaite(1948)の式から求めた年蒸発散能で年降水量を除して降水蒸発散能比(P/PETt)を求め,ユーラシア大陸規模の乾燥度区分図を描いた。Thornthwaite式は,多数要因から蒸発散能を求めるPenman(1948)の式より理論的に劣るものの,データが限られる地域における気候からの植生区分において,なお有効な方法である。上記作図の結果,P/PETtによる乾燥度区分図の一般的傾向が,既存の雨量因子(Lang,1920)・乾燥度指数(Martonne,1926)による乾燥度区分図と近似することを確認した。次に,上図のデータを用いて内蒙古地域を対象として等値線間隔0.1の詳細な乾燥度区分図を描き直し,この図が中国についてPenman式から求めた蒸発散を用いて描かれた図(Qion and Line,1965)と近似することを確認した。そして,内蒙古大学が作成した(Li,1991)最も大縮尺で詳細な草場類型図と比較して,草原種型毎のP/PETtの乾燥側限界値を以下のように決めた。すなわち,森林0.9,森林草原0.6,典型草原0.4,荒漠草原0.3,草原化荒漠0.2,荒漠0.2以下,である。 | 
|---|---|
| Bibliography: | ZZ00007967 710370  | 
| ISSN: | 0388-8673 2189-6275  | 
| DOI: | 10.18922/jjfe.46.2_103 |