音響馴致放流したキジハタの人工魚礁域における滞留状況

人工生産した種苗を放流し、これを自然環境に定着させて資源拡大を図り、合理的な管理のもとに漁獲しようとする栽培漁業が、多くの魚介類を対象に行われている。また、人工魚漁礁設置に伴う水産工学的手法と音響馴致技術を組み合わせて、より効率的に放流種苗を保護・育成し、資源に添加させようとする試みがある。キジハタは岩礁性の魚類で、市場性が高いが、近年その漁獲量は著しく減少したことから、種苗放流による資源培養が期待されている。しかしながら、本種の放流技術や増殖場造成技術の開発に不可欠な地域的な個体群レベルでの生活様式、稚魚の着底環境や食性に関する知見は少なく、また、放流魚の滞留状況や成長・生残の過程は明らかに...

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Published in日本水産工学会誌 Vol. 38; no. 2; pp. 185 - 191
Main Authors 萱野, 泰久, 片山, 貴之, 林, 浩志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産工学会 2001
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ISSN0916-7617
2189-7131
DOI10.18903/fisheng.38.2_185

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Summary:人工生産した種苗を放流し、これを自然環境に定着させて資源拡大を図り、合理的な管理のもとに漁獲しようとする栽培漁業が、多くの魚介類を対象に行われている。また、人工魚漁礁設置に伴う水産工学的手法と音響馴致技術を組み合わせて、より効率的に放流種苗を保護・育成し、資源に添加させようとする試みがある。キジハタは岩礁性の魚類で、市場性が高いが、近年その漁獲量は著しく減少したことから、種苗放流による資源培養が期待されている。しかしながら、本種の放流技術や増殖場造成技術の開発に不可欠な地域的な個体群レベルでの生活様式、稚魚の着底環境や食性に関する知見は少なく、また、放流魚の滞留状況や成長・生残の過程は明らかにされていない。1995年から瀬戸内海中部沿岸の岡山県笠岡市白石島地先で、音響馴致したキジハタ人工種苗を音響給餌ブイ周辺に設置した人工魚礁に放流し、その滞留率を高めようとする実験が行われた。本研究は、同地先を調査対象として、主として潜水による目視観測により音響馴致放流したキジハタの人工魚礁域における分布特性と滞留率を明らかにし、人工魚礁の環境収容力について考察することを目的とした。
Bibliography:661215
ZZ00011795
ISSN:0916-7617
2189-7131
DOI:10.18903/fisheng.38.2_185